BLOG / Kentaro Matsuo

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秋山智春さん

2019.06.10

秋山智春さん
シップス 商品1部 商品1課 課長

シップスのバイヤー兼MD、秋山智春さんのご登場です。シップスのメンズドレス部門におけるバイイング、商品企画の要となっている方です。

秋山さんは、新潟県・上越市のご出身なのですが、お祖父様はテーラー、そしてご両親はメンズ・ショップを経営なさっていたそうです。親子三代に亘ってファッションに携わっているサラブレッドです。

「幼い頃から、洋服に囲まれて育ちました。自宅と店がくっついていたので、ショップが遊び場でしたね。夏休みになると、よくスーツのブラシ掛けを手伝わされたものです。商売人だった両親が、店頭で人と接しているのを見ながら育ちました」

お店の名前は『男子専科 アキヤマ』といったそうです。かつて雑誌『男子専科』に在籍していた私としては、実に親近感が湧く店名です。ちなみに“男子専科”という言葉は、創刊者の宇野千代とその夫だった小説家・北原武夫の創案だったと聞いています。昔は“男子専科”の名は、メンズ・ショップによく付けられていたのです。

「2歳のときの写真を見ると、サファリ・ジャケットにオープンカラーのシャツを襟出しで着て、ベルボトムのジーンズを穿いています。まさに70年代そのままですね(笑)」

物心つく前から“襟出し”とはさすがです。

ウール×モヘアのスーツは、イタリアのヴァルディターロ。

「夏になると、よくモヘアを着ます。バリっとしていていいものです。シワにならず、パンツのクリースもまったくとれません。このスーツには久しぶりに袖を通したのですが、実はアイロンがけはしていないのです」

パンツにきっちりとした折り目が入っていたので、てっきり撮影直前にアイロンがけをしてくれたのだと思っていました。

タイは10年以上前に買ったフランコ ミヌッチ。

「きれいな色とテロっとした素材感が気に入って、10年間ずっとしています。モヘアのスーツにニットタイというのは、セオリーからするとNGなのでしょうが・・」

タブ・カラーのシャツは、エリッコ フォルミコラ。

タイ・バーは、スチュード ベイカー。

「アメリカのハンドクラフト感の強いアクセサリーブランドです。トランクショーでは、お客さんの目の前でシルバーの棒を叩いたり捻ったりして、さまざまなアイテムに加工してしまう。とても高い技術を持っています」

チーフは、ピエール=ルイ・マシア。

ベルトはフランスのメゾン ボワネ。

シューズは、英国のクロケット&ジョーンズです。

「シップスが何十年もやっているシューズです」

コーディネイトには、英仏伊米のブランドが、バランスよく取り入れられています。

「なるべくキメすぎないようにしています。全身イタリアものだと、コテコテになりすぎてしまう。他の国のものを取り入れて、少し外すようにしていますし、それがシップス流でもあります」

シップスといえば、年配の方はアメリカを連想するかもしれませんが、私くらいの年代だとフランスのイメージも強くあります。かつてマルセル・ラサンスを扱われていた関係で、モンクレールやジェイエム ウエストンを日本に初めて紹介したのが、シップスだったからです。

さて、2歳から襟出しをしていた秋山少年は、ごく自然にシップスに入社したのかと思いきや・・

「学校を出てから、まったく違う仕事をしていました。電柱に電線を張る仕事です。感電して手に火傷を負い、入院したこともありました」

しかし、血は争えず、ファッションへの思いは募り、新潟市内のセレクトショップへ通いつめます。

「新潟のシップスに“中村さん”というすごくお洒落な店員さんがいて、彼の格好を見るためだけに、片道1時間をかけて通っていました。SNSなどない時代の話です。あ、ビームスの中村さんとは、また違う人ですよ(笑)」

新潟の中村さんは、皆お洒落なんですね。

念願かなって、シップスへ入社し、販売員を経て、バイヤーとなられました。

「バイイングで難しいのは、すごくいいモノであっても、結果がついてこないことがあるところですね。以前イタリア物の全盛期に英国製のスーツを仕入れたときには、硬い着心地と長い着丈が嫌われて惨敗でした。モノ自体は素晴らしかったのですが・・。逆に最大のヒットは、トゥミに別注したネイビーのバッグです。累計で1万個以上も売れました」

まさにメンズ・ファッションの“酸いも甘いも”噛み分けてこられたようです。

ご両親のご苦労が、わかったのではないですか? と伺うと

「まったくその通りですね。残念ながら両親の店は10年ほど前に閉店してしまったのですが、面倒を見てもらったことには感謝しています。最後に“お前やるか?”と聞かれたときは、断ってしまいましたが・・(笑)」

しかし男子専科の血は、シップスにて脈々と受け継がれています。ご両親もさぞやお喜びのことでしょう。

秋山さんがこの夏薦めるのは、ナチュラルなカラーや素材感を持つアイテム。
コットン×リネンのジャケット¥110,000(ヴァルディターロ)
再生素材リヨセル混のシャツ¥30,000(サルヴァトーレ ピッコロ)

今年の夏はオープンカラーのシャツが大人気だそう。“襟出し”がまた流行最先端に。
上段のシャツすべて¥25,900(エリコ フォルミコラ/シップス銀座店 Tel.03-3564-5547)

左:サファリジャケットに襟出しでキメる、2歳の頃の秋山さん。
右:上越市にあった『男子専科 アキヤマ』の看板。

 

THE RAKE
https://therakejapan.com

PROFILE

松尾 健太郎

松尾 健太郎

THE RAKE JAPAN 編集長


1965年、東京生まれ。雑誌編集者。 男子専科、ワールドフォトプレスを経て、‘92年、株式会社世界文化社入社。月刊誌メンズ・イーエックス創刊に携わり、以後クラシコ・イタリア、本格靴などのブームを牽引。‘05年同誌編集長に就任し、のべ4年間同職を務めた後、時計ビギン、M.E.特別編集シリーズ、メルセデス マガジン各編集長、新潮社ENGINEクリエイティブ・ディレクターなどを歴任。現在、インターナショナル・ラグジュアリー誌THE RAKE JAPAN 編集長。

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