2017.11.08
盛岡の老舗靴店、菅原靴店 ( Sugawara Ltd. ) はセレクトショップとして実力のあるショップです。代表取締役でありバイヤーでもある菅原誠さんは、かき氷屋として創業した初代が、八百屋と靴屋を半分ずつ掛け持つ2代目、そして靴専業の3代目と数えての、ウェアも扱うトータルセレクトショップとして4代目にアタリます。イタリア留学経験もあり、いまも年に数回買い付けにイタリアへ精力的に渡られていて、そこで出会った選りすぐりのブランドを独自に日本で展開しているので、まだ大手のセレクトショップや百貨店にもあまり知られていないブランドを扱っていたりもします。
GABLIELE PELUSO NAPOLIもその一つです。日本でもまだあまり知られていなかったこのブランドは、1907年創業という超老舗。ビッグメゾンのOEMを手がけているため品質供給ができるファクトリーは、熟練した職人の高い技術力とコストパフォーマンスに優れる靴作りがされています。
そんなGABLIELE PELUSO NAPOLIの内羽根ウィングチップをご紹介しましょう。コットンストレッチのセットアップにシャンブレーシャツをタイドアップしたカジュアルスーチングに合わせても、足元がこうだとかっちりと英国的なルックスに仕上がる好例。実は、このウィングチップ、洒落者なら垂涎の魅力が隠されています。分かりますか?
じつはこのウィングチップ、黒じゃないんです。上掲の右足を御覧ください。内側が茶色のムラ染めになっています。そうスムースの黒とムラ茶のコンビネーションなんです。一見、単色と思わせて、陽光が差すとキラリとコンビであることがわかる。なんとも粋な作りなんです。
そんなGABLIELE PELUSO NAPOLIは、デザインだけの軽薄な靴ではありません。製法はグッドイヤーの堅牢性とマッケイの柔らかさを両立するブラックラピド。ノーズがやや長めで内振りのラストもモダンな印象で、なんといってもつま先から甲へと立ち上がるラインの優雅さはイタリア靴ならではのものです。パーツのエッジのピンキングや、パフォレーションの切り方も丁寧で配置も目が揃っています。ナポリのシューメーカーにしては生真面目な仕事ぶりが伺えます。
黒の内羽根ウィングチップなら、ビジネス一辺倒に履くしかありませんが、コンビネーションと分かればカジュアルなスタイリングにも余裕で合わせられます。例えばこんなタートルニットにスーツをあわせるドルチェビータスタイルも、ドレッシーな中に適度なヌケを与えてくれるのが茶のムラ染め革を使っていればこそ。ネイビースーツに合わせても黒一色じゃなく、茶色を差すのでイタリア男が得意な「アズーロ・エ・マローネ(紺と茶)」の配色もできてしまうのです。
さて、そんなまだ日本では余り知られていないナポリ靴のほかにもオフィチーネ・クリエイティブなどのイタリア靴を豊富に揃える菅原靴店では、クロケット&ジョーンズやチーニーなどの英国老舗靴も取り扱っています。ウェアブランドも豊富で、B.R.ONLINEでも人気のブランドも並びます。靴店からセレクトショップへ、盛岡発クラシックの名店としてから全国へ、靴から始まるファッションの楽しさを提案しています。