2022.04.29
ニューノーマル時代の新たなファッションの道筋はダイバーシティ(多様性)とボーダーレスを無視することはできません。それはドレスとカジュアルだけでなく、メンズとレディスの垣根さえも自由に行来するということ。トレンドレスな時代に、ジェンダーレスな装いが時代を象徴する、ある意味皮肉なジェネレーションかもしれないのです。
・マリア・サンタンジェロ / マルチストライプ カッタウェイカラー シャツ
・サルトリア ダルクオーレ / 三織混 4B ジャケット
・ピーティートリノデニム / BR別注 ゴールドパーツ ストレッチ ブルーデニム パンツ
・ブラン / コンビフレーム サングラス
・アンダーソンズ / ゴールドバックル ナローベルト (カーフ)
・フラテッリジャコメッティ / スウェード モンクストラップ モカスリッポン
カルチャーとライフスタイルがニューノーマルへと覚醒した時代には、ファッションもドレスとカジュアルだけでなく、国籍も年齢、性別も超える装いが世界的に支持されています。その典型がシャツかもしれません。そもそも男性はシャツ、女性はブラウスと呼ばれながら、その仕立ても着こなし方さえも、男女の別を明確に意識してきたアイテムだったはず。
しかし、いまシャツのスタイリングに男らしさを追求する着方は必要ありません。もっと自由にシャツを愉しむためにも、ボーダーもジェンダーも関係ない、新しい秩序「ニュー・オーダー」が求められているのではないでしょうか。
たとえばストライプのシャツとダブルのジャケットの組合わせには、これまでなら権威主義の象徴といわれたネクタイを締めてることでユニフォームとしての完成度を与えてきしました。そこをあえてのノーネクタイ姿。胸元のボタンをひとつ多く外し、衿羽根はジャケットの上に大きく開く着方は、オープンカラーなどリゾートな装いに限定された着方だったはず。それはもはや旧態依然としたルール下でのお話しなのです。
ジャケット&デニムのラフ&カジュアル。そのコンセプトはボーダーレスかつジェンダーレスな新しいシャツの着方を象徴するものでした。ドレスダウンとカジュアルアップ、両方向からのアプローチはドレスシャツの開放ともいうべき新時代。まるでTシャツのようにフリーな感覚を与えてくれます。
・ピーティートリノ / デニム ウエスタンシャツ
・デ・ペトリロ / ナチュラルストレッチ カシミア 3B 2パッチポケット ジャケット
・ピーティートリノデニム / BR別注 ゴールドパーツ ストレッチ ホワイトデニム パンツ
・ブラン / グローバルライン チタンフレーム サングラス
・エンツォ ボナフェ / ゴールドビット ローファー (グレインレザー)
シャツの開放とともに、指摘されるのはデニムシャツのドレス化です。労働着としてアメリカの男たちを象徴するデニムのウエスタンシャツとジャケットを合わせる着方は、これまで“ミスマッチ”と呼ばれて親しまれてきましたが、ニューノーマルの時代には、なにひとつとして「ミス」と捉えることはないのです。
Tシャツの代わりにドレスシャツ、ドレスシャツの代わりにデニムシャツという何気ない日常のワンシーン。そこでジャケットはピュアカシミヤ、ホワイトデニムはゴールドパーツを用いたBR別注モデルでラグジュアリーな気分を加味しました。足元もゴールドビットのローファーで、隙のない取り合わせです。むしろデニムシャツの存在感が、エレガントさを増していく、時代が追いつくことで進化を遂げたスタイリングとなっていました。
・バグッタ / ストライプ レギュラーカラー オーバーシャツ
・フェデリ / ショートスリーブ クルーネック Tシャツ
・ジャブスアルキヴィオ / ガーメントダイ ストレッチ リヨセル&コットン 1プリーツ パンツ
・フラテッリジャコメッティ / ユタカーフ ローファー
先程、シャツは下着という、いかにも使い古されたフレーズを使いましたが、シャツはもはや下着でもインナーでもアウターでもない自由な服。だからこそ、アウターとしての着方が保証され、まるでジャケットのような優位性をもって羽織るように着ることができるのです。
オーバーサイズシャツはその典型的なアイテムです。ゆったりと羽織るだけなら、サイズアップすればいいのかもしれませんが、あくまでシャツ衿はネックラインにフィットしますし、肩線の位置は適度な余裕をもってドロップしているのですが、そこは計算のうえで成り立っているので決してサイズを間違えたいように感じさせない、いや「間違い」など存在しないかのように、自然と羽織ることができます。大きめのポケットはカジュアルシャツの様相ですが、完璧な柄合わせはドレスシャツの矜持の現れ。もはやシャツを呼ぶことすら憚られる、秀逸なアウターです。
ボーダレス、ジェンダーレスに限らず、エイジレス、シーンレス、シーズンレス。多様性の時代に寄り添いながら、服の本質を見つめなおすスタイルの構築こそが、いまの時代のトレンド。いやトレンドすらもレスな時代の自然で当然な行方なのかもしれません。
Producer : 大和一彦 / Styling & Direction : 四方章敬 / Photographer : 渡辺修身 (SAMMY STUDIO) / Hair&Make : SHOTARO (Sense Of Humour) / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎 / Model : Artur (Wizard)