
2018.08.11
・ザ ジジ / 2Bマルチコーデュロイジャケット
・アルテア / ミドルゲージクルーネックニット
・ザ ジジ / 1プリーツマルチコーデュロイパンツ
・アルテア / ジオメトリックパターンネッカチーフ
・クロケット & ジョーンズ / グレインレザープレーントゥ
秋冬シーズンになると起毛素材の出番です。定番のツイードやフラノ、さらにはシーズンごとトレンドとしてのベルベットやカセンティーノなど、様々な種類の起毛素材が登場しますが、今季はなんといってもコーデュロイに注目です。
もともとコーデュロイはフランス・ルイ14世が宮廷庭師の制服として採用したといわれる素材です。外着としての保温性に優れながら、長く揃った毛足には光沢が浮き、傍目にも上品さがあるためドレスウェアの素材と思われている方もいるほど。毛足の長さや縦に走る畝の太さも様々なうえ、変わり種もあってバリエーションも意外とあります。メンズスタイルのトレンドセッター的なブランドが取り上げる機会も多く、周期的に流行しますが、今季はメンズ・クラシックの旗手であるTHE GIGIがコーデュロイに注目しているので、これは間違いなく今季が旬と言えるでしょう。実際のコレクションを拝見してみましょう。
オリーブカラーのコーデュロイジャケットは、パッチ&フラップポケットを配したカバーオール型のシングルジャケットで、新型の「スターマン」。ワークウェアとして誕生したコーデュロイの歴史を知っているかのように“わかってる”デザインがされています。インはクルーネックニットと合わせながら、衿元にスカーフを巻くことでお洒落な庭師の趣に。ワークウェアやミリタリー服に、こういった洒落心を挿すことで、ぐっと大人っぽく仕上がるのはテクニックとして覚えておきたいところ。ボトムズはコーデュロイに合わせるなら、ウーステッドより起毛感あるフランネルが断然似合いますので、黒のフランネルパンツという選択なら間違いないといえましょう。
・ザ ジジ / 1プリーツマルチコーデュロイパンツ
・アルテア / ミドルゲージタートルネックニット
・フィナモレ / セミワイドカラーブロードシャツ
お次はコーデュロイパンツのコーディネートです。細畝コーデュロイのパンツが70年代西海岸のサーファーに流行ったり、80年代DCで太畝コーデュロイが取り上げられたり、年代ごとのトレンドはありますが、ポイントは毛足のある素材感から生まれる光沢をどう扱うかといったところでしょう。ちなみに合わせたパンツのモデル名は「トンガ」。クラシック仕立てのワンプリーツ&テーパードシルエットが今風の最旬パンツです。ドレープをともなう光沢感にはドレッシーな印象があり、これをうまく活かせるトップス選びが肝要です。
ここでは、ひとつの正解例としてタートルニットを合わせてみました。さらにタートルのインに白いドレスシャツを合わせて、衿元から衿羽根を覗かせるという、イタリア人らしい着くずしのテクも取り入れています。大人カジュアルの定番でもある「ドルチェビータスタイル(※イタリア語でタートルニットを「ドルチェビータ」と呼ぶことから)」が、コーデュロイパンツと出会うことで、しっとり落ち着いた雰囲気を纏って大人びた表情に組み上がっていることがおわかりいただけるかと思います。
・ザ ジジ / 8Bマルチコーデュロイダブルジャケット
・ザ ジジ / 1プリーツマルチコーデュロイパンツ
・アルテア / ミドルゲージタートルネックニット
・マイストーリー / ポケット付きクルーネックカットソー
コーデュロイのジャケットとパンツでセットアップが組めるのもTHE GIGIの今季の提案です。ジャケットはお馴染みTHE GIGIの人気モデル「ジギー」。ドレスシャツをタイドアップをするよりも、カジュアル系でまとめるほうがいいのは、先程触れたコーデュロイの出自からしてもおわかりいただけると思います。
そこで、こんなふうにタートルニットを合わせれば、誰にでも簡単に着こなせる合わせ方に。裾から白Tの裾をわざとチラ見せするのも、ヌキのポイントです。上掲のタートルに白シャツの衿を覗かせる着こなし術と同じく白のチラ見せは適度なリラックス感を与えてくれるので、がっちりと固めた隙のないスタイリングよりもはるかに高感度というわけなんです。
ちなみに黒のコーデュロイはかなり存在感のある素材ですので、ここでインを白や淡色などおとなしいアイテムにしてしまうと、コーデュロイが悪目立ちして「コーデュロイ素材を着ている!」感が強くなりすぎて、とてもじゃありませんが「着こなしている」とは言えないスタイリングになってしまいます。あくまでコーデュロイを活かしながら、トータルでバランスをとることが重要ということ、お忘れなく。
コーデュロイは細畝と細畝に大きく分けられますが、それぞれにイメージが異なります。細畝の場合、毛足も短く、フィールドジャケットの襟に使われたり、ウェスタンシャツのヨークに使われることから、ワークやヘビーデューティなイメージがつきまといます。対して太畝は毛足が長いため光沢が強く、タッチもソフトなうえゆったりとしたドレープが出るのでドレッシーに映ります。
今回ご紹介したTHE GIGIのコーデュロイジャケット&パンツは、太畝と細畝が交互に配された親子コーデュロイというものです。つまり細畝のカジュアルな雰囲気と太畝のドレスなイメージを両方備えているということ。そのためドレス&カジュアルの両方に着回しやすく、カジュアルに着ても上品ですし、ドレスアップしても肩の力の抜けたスタイルが可能になります。
足元がレースアップのドレス靴でも、レザーのスリッポンでも、スニーカーでも合わせられるのは、そのいい証拠。カジュアルなのかドレスなのか、いまいちコーデュロイのイメージがわかりにくいという方も、親子コーデュロイから始めればスタイリングに失敗することは少ないのではないかと思うのですがいかがでしょう。
Producer : 大和一彦 / Styling & Direction : 四方章敬 / Photographer : 鈴木泰之 / Hair&Make : Takuya Baba (Sept) / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎 / Model : ILJA (Image)