2024.06.21
92年式300E-24(W124)、走行は3万9000キロでボディカラーはブルーブラックという極上コンディションの個体と、メルセデス・ベンツの『オールタイムスターズ』というサービスを介して巡り合った戸賀編集長。
『オールタイムスターズ』では、いつの時代のモデルであっても、純正パーツを使ってリフレッシュ、リファインすることができるだけでなく、メルセデス・ベンツのオフィシャルのサービスということもあって、メルセデスが長年にわたって培ってきた技術を使いながら、フルオリジナル状態に近いまで戻すことも可能だといいます。
W124(Eクラス)は、メルセデス・ベンツのクルマ造りの中核をなす考え方である「最善か無か」を追求したモデルとしても知られ、1984年から1996年にかけて生産された『傑作』と呼ばれる名車であることは、リッチなオジサンなら皆知っていること。
前回は、500E(ミディアム 1992、93モデル)、E500(Eクラス 1994、95モデル)のお話しをお聞きしましたが、今回はボディバリエーション別として、カブリオレ、ステーションワゴン、セダン&クーペについても、相場感、そして実車を見る際に気を付ける点について聞いていきたいと思います。
お答えいただくのは、前回に引き続きオールタイムスターズ(以下ATS)の森進太郎さん、聞き手は菅原(スガ)でお送りします。
―― 森さん、今回もよろしくお願いいたします。
森さん こちらこそよろしくお願いいたします。
―― W124といえば、豊富なボディバリエーションを持つことでも知られていますが、そちらの人気も上がってきているのでしょうか?
森さん はい、間違いなく上がってきています。カブリオレ系も最近高騰しておりますが、予想以上の高騰を見せているのが、T(ステーションワゴン)シリーズです。
今回は、この両モデルからお話をさせていただきましょうか?
―― いいですねぇ(笑)。僕はちょっとステーションワゴンが気になっていたんです。昔、一緒に仕事をしていたカメラマンが乗っていたんですけど、当時の僕にはまったく手が出なかった。そのクルマが今、いくら位で購入が可能なのか、果たして自分が購入できる価格なのか、本当に気になっているんですよね。
森さん なるほど(笑)。では、ステーションワゴンはお楽しみに取っておいて、先にカブリオレからお話しいたしましょう。
カブリオレには、300CE-24、320CEカブリオレ、そしてE320カブリオレが存在しております。こちらのモデルが市場に出てくると、コンディションの差もありますが、相場は450~900万円といった感じになります。
先ほども申しましたが、このカブリオレ系も最近高騰しておりまして、先日も走行8万㎞の個体を買い付けてきました。この個体が650万円という価格でしたから、その高騰ぶりがお分かりになるかと思います。
―― 走行8万㎞を650万円で買い付け! それはけっこう高いですね。そこから手を加えていくと、ATSでの価格は、なかなかの額になりますよね。
森さん 買い付けが高いと、必然的にそうなります。ですので、ベース車両の購入を検討する場合、実車を確認できる場合なら、内外装の状態だけでなく、ソフトトップの状態、そして油圧シリンダーの状態をよく確認することが必要です。カブリオレの場合は、これらの状態で価格が大きく変わります。
また、元々派手?好みの方々が好んでお乗りのお車でしたので、変に改造されている個体が多いのも特徴ですね。
狙い目は、とにかくノーマル状態を保っている個体、さらに油圧シリンダーにも一度手が入っているものが良いと思います。
ATSでは、リフレッシュ済で700万円前後の個体を中心に揃えたいと考えております。現在ATSでの中心価格は500~900万円といったところですね。
―― 油圧シリンダーの交換となると、パーツだけでかなりの金額になりますよね。ノーマル状態で、油圧シリンダーに手が入っているものは、確かに狙い目。良い情報をありがとうございます!
では次は、僕がお待ちかねのステーションワゴンにいきましょう!(笑) 現状はどんな状況なのでしょうか?
森さん T(ステーションワゴン)シリーズには、230TE、300TE、320TE、そしてE220T、E280T、E320Tのモデルがありますが、どれも私の予想を超える高騰を見せています。
森さん 現在、市場に出回っている個体は、200万円~600万円といったところでしょうか。
まずは見た目で、ミディアムの前期(サッコプレート無し)・後期(サッコプレート付き)、さらにEクラスと、それぞれに好みが分かれます。またT(ステーションワゴン)の特徴として、走行距離が少ない個体の価格が、異常に高騰していることが挙げられます。
最近、1996年最終登録のE320T、シルバー、左ハンドル、サンルーフ、レザーインテリア、3万Kmという、すべてを兼ね備えたかの様な個体の査定をいたしましたが、500万円でもお譲りいただけるかどうか? といった感じでした。
なので、狙い目といたしましては、走行距離には多少、目をつぶって(20万Km超えていても手を入れれば大丈夫なので)、インテリアの状態の良い個体を探すのがおススメです。
ステーションワゴンはペットに荒らされた個体も多いので、インテリアはとくに注意が必要なんですよ(笑)。
ATSではリフレッシュ済みで、450~600万円前後の個体を揃えたいと思っております。
―― 450~600万かぁ。絶妙な価格ですねぇ(笑)。でも確かに、ペットにインテリアを荒らされているというのは分かります。革シートの傷は厄介だし、ファブリックシートだと汚れやペットの毛が気になる。 自分が購入するなら、革シートでインテリアの状態が良いものの一択かも。 では最後に、一番現実的なチョイスになるであろう、セダン、クーペについてお話しをお願いできますか?
森さん 承知いたしました。セダン、クーペですと230E、260E、300E、300E-24、320E、300CE、300CE-24、そしてE220、E280、E320、E320クーペといったモデルが挙げられます。
やはりセダン系は一番入手しやすいですが、最近はコンディションが良い個体が本当に少なくなりました。
クーペは数こそ少ないですが、カブリオレ、ステーションワゴンのように個体差による価格の差は意外と少ないですね。
ただワゴンと同じように、走行距離が少ない個体が異常に高騰する傾向に有ります。
―― やはりクーペでも走行距離の少ないクルマは、希少なんですね。
森さん おっしゃる通りです。ちなみにW124のセダン、クーペの市場価格は100~500万円といったところですが、100万円前後で入手できても、そのままでは乗れないと思っていたほうが間違いないと思います。やっぱり100万円のクルマには100万円となる理由があると思って間違いない。 たとえば、W124系では、走りはもちろん、インテリア、メーターなどの状態にも、気を付けていただきたいんです。 ダッシュボード、レザーシートなどはリペアが効きますが、クロスのシートの破けなどは修復が難しい。また、スピードメータ-の中にカビが発生することも多いのですが、このクリーニングにも結構苦労します。
―― 安価で手に入れることができても、その後に細かく手を入れていくと、出費がかさむ可能性が大いにあるということですね。
森さん はい。だからベース車両のコンディションは、良いに越したことはありません。コンディションの良いベース車両を手に入れることができて、なおかつパーツを純正、新品にこだわらなければ、何とかなる部分が多いのもW124系です。今後も維持しやすいお車ではないかと思います。
―― なるほど。パーツが純正であるとか、新品であることにこだわらなければ、ネオ・クラシックのなかでも、比較的維持はしやすいんですね。
森さん そうですね。やはり30年前のクルマであることは間違いないので、パーツの供給が難しい点はありますが、維持しやすいお車だと思います。そしてATSではW124のセダン、クーペはリフレッシュ済みで、350~550万円の個体を揃えたいと考えております。
―― リフレッシュ済みで350~550万円! ならばリフレッシュ、プラスαで仕上げていただいている、トガの92年式300E-24の仕上がりと、その価格の方も楽しみでなりませんね(笑)。トガから、もうそろそろ納車という話しも聞いておりますので、また詳しくお話を聞かせてください。
森さん 承知いたしました。でも菅原さん、戸賀様にお求めいただきましたお車ですが、インテリアなどは非常に綺麗な個体なので、私、森が認めるATSに間違いなくなりそうです。
ボンネットとフェンダーの傷をリペアいたしましたら、外装もほぼ無傷!
作業が終了し、キッチリ仕上がった300E-24。戸賀様の元にお届けできるのが、私も今から楽しみです!
J PRIME
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Text:菅原 晃