2023.12.07
それぞれが個性を競い合うナポリのサルトたち。その系譜をまとめあげ集大成としたのは、今はなきロンドンハウスだといわれています。ティト アレグレットは、そのロンドンハウスで研鑽を積み、自身のブランドを立ち上げたディレクター。贅を極めたサルトリア・ナポレターナの世界観を存分に堪能できるBRだけの特別なカシミアコレクションです。
・ティト アレグレット / カシミア 3B ジャケット 310,200円
・ベグアンドコー / ボーダー カシミア ストール 61,600円
・グランサッソ / ハイゲージ タートルネックニット 27,500円
・ピーティートリノ / 1プリーツ ストレッチフランネル パンツ 55,000円
・エンツォ ボナフェ / グレインレザー ビットローファー 126,500円
イタリアン・クラシコは、大きく南と北に分類されます。南はロンドンハウスにはじまるサルトリア・ナポレターナ、北はカラチェニ、プリンツィバァリーといったサルトの系譜。いまも脈々と受け継がれる伝統的技法に、最新のモダンを乗せたドレスクローズはイタリアの至宝ともいえるコレクションを紡ぎ続けています。
ティト アレグレットはロンドンハウスで修行を積んだディレクター。独立後はイザイア、アットリーニなど錚々たるナポリブランドでもVMDとしての腕を奮い、2012年に自身のシグニチャーを立ち上げました。伝統的なクラシック服をモダンなスタイリングで魅せる独自の世界観で、世界中のバイヤーから支持されると一気にその名が知れわたります。本人もその世界観に相応しいウェルドレッサーであることはいうまでもなく、そのコレクションは彼のクロゼットを描き出しているかのようです。
たとえばこのジャケットは、BRのリクエストによって特別に手配された目付け440グラムのカシミア仕立て。コートにも使えるほどの厚手の素材は、しっかりと目の詰まった織りで、これから迎える冬本番もコートいらずと言えるほど。9.5cmワイドラペルの3ボタンシングル、裾まで通ったフロントダーツとマニカカミーチャの仕立てぶりは、いかにもナポリ仕立ての粋の集大成ですが、あえてクラシックでは用いない黒を選ぶあたりはティトとBRのコラボの妙といえそうです。
さらにこのカシミアジャケットに、インラインにはない特別なブラック&ゴールドのクレスト(紋章)ボタンをBRは別注しました。モダンな印象のブラックカシミアに、ヴィンテージ感あるボタンの組み合わせは、まさに現代のサルトリアナポレターナを地で行く味わい。着こなし方もタイドアップより、タートルニットのエレガンスが似合いそうです。
・ティト アレグレット / カシミア 6B ジャケット 315,700円
・グランサッソ / ハイゲージ タートルネックニット 27,500円
・ベルウィッチ / BR別注SCOTCH フランネル パンツ 42,900円
・エンツォ ボナフェ / グレインレザー ビットローファー 126,500円
こちらは上掲カシミアのダブルブレストバージョン。しっかりとした厚みのある440グラムのピュアカシミアは、現地のサルトでじっくりと生地バンチを選んでオーダーしたかのような贅沢さを感じさせます。ピークドラペルがここまでワイドなところは、男らしさを強調するナポリらしいところといえるでしょう。袖付けのマニカカミーチャ、上襟の一枚仕立てもナポリならではのディテールワークで、まさに「神は細部に宿る」を実感できます。
ここで着こなしについても触れておきましょう。ワインカラーのタートルニットはブラウンジャケットとも相性がよく、そこへ白のワイドテーパードパンツが今風のシルエットを描きます。足元のゴールドビットのローファーが、ジャケットのゴールド&ブラックボタンと響き合ったノーブルな着こなし。イタリアらしさも全開の、こんな着方ができれば、真冬の寒さもなんのその、背筋を伸ばしていられそうです。
・ティト アレグレット / カシミア 6B ベルテッドコート 445,500円
・グランサッソ / クルーネックニット 35,200円
・ピーティートリノ / 1プリーツ コットンフランネル パンツ 57,200円
・ジャコメッティ / スウェード モンクスリッポン 117,700円
最後にティト・アレグレットの魅力を最大限に味わえるコートをご紹介したいと思います。ライトベージュのダブルチェスターは目付け600グラムのピュアカシミア。こちらもBRのリクエストにより特別に手配された生地。半裏ですが風を通さないほど織りが密で、本物の最高級カシミアを知る方ならご存知の、あの暖かさをしっかり感じることができます。しかもこの淡い色目から、元の繊維が最高等級であることは明らか。低等級のカシミアはカシミア繊維が濃色ゆえ、他色に染め上げるのが一般的ですよね。
羽織ってみれば一目瞭然のそのやわらかさ。これだけ厚地なのに重量感をまったく感じさせないのは、繊維間に空気をたっぷり含んでいることと、仕立ての妙が相まってはじめて為せる技でしょう。全体的にゆったりとしたシルエットも今っぽく、センスの良さが滲んでいます。
バックルレスのベルトは結ぶか、ポケットに入れてしまいます。ベルトレスならAライン、結べばXラインで着こなせますね。アームホールの位置と腰位置が高いので、一枚で羽織る着方もサマになっていますが、中にスーツやジャケットを着た時もクラシック味を損ねず、ドレッシーなスタイルメイクが可能です。まさにラグジュアリーを極めしナポリのコート。これは絶品です。
Direction & Styling : 四方章敬 / Photographer : 川田有二 (Riverta Inc.) / Hair&Make : yoboon / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎 / Model : Lemmie (BRAVO MODELES) / Producer : 大和一彦