2019.12.02
昨今のボトムズトレンドは進化系パンツ一色。長いことドレスパンツを手掛けてきたファクトリーの多くが、スタイルの変化に合わせてカジュアルなパンツへと進出しているのはご存知のとおりですが、逆にカジュアルパンツのファクトリーがドレスパンツを手掛け、話題となっているブランドがあります。それがイタリアンデニムのブランドとしての確固たる地位を築いてきたC+/シープラスです。
・C+/シープラス / 2プリーツ ハウンドトゥース ウール混 パンツ
・タリアトーレ / ラムレザー ライダース ジャケット
・フェデーリ / クルーネック ニット (140'S ウール)
・キンロック / トライアングル シルク スカーフ
・パラブーツ / スムースレザー サイドゴア ブーツ
長年クラシックなドレスパンツを作り続けてきたブランドが、現代的なシルエットに加えてストレッチ素材を採用したり、シャーリングやドローコードをあしらったりして“進化系パンツ”を続々とリリースしているのはご存知のとおり。しかし、なかにはカジュアルパンツのファクトリーがドレスパンツを手掛けるという、まったく逆のアプローチもあるんです。これも“進化系”の一種と言えそうです。
C+/シープラスはすべての工程をイタリア国内で手掛けるデニムのメジャーブランド。とくに洗いや染色といった製品加工を自社で行える希少なメーカーでもあります。卓越した技術を、ドレスパンツに注ぎ込むことで、新たなコレクションを打ち出していることは、B.R.ONLINEでもご紹介してきましたが、今季も秀作が揃いました。
2プリーツのシルエットがいかにも今風のモデルは今季新作の「RID-SMILE」。ワタリからテーパードする美シルエットは、ジャケットはもちろん、ライダーズとも合わせられる絶妙なシルエット。デニム由来のC+が手掛けるスラックスは、ドレスパンツブランドにはない、かっちりすぎない絶妙な抜き加減が秀逸です。
全身モノトーンと思わせつつ、じつはパンツはハウンドゥースと技ありで、インに着たクルーネックニットの襟元にはスカーフを挿して色味を足しています。足元はサイドゴアブーツですっきり履いても、パンツの膝下から裾のラインがきれいに入るのでドレッシーな足元とも相性良し。ライダーズ×スラックスの大人コーデには、まさに最適なパンツといえそうです。
ダークトーンで遠目に無地のハウンドトゥース柄。ワントーンでも柄を使うことで、黒一色のコーデに見えてメリハリのあるコーディネートに仕上がっています。2プリーツのタックもしっかり入った今風の腰回りフォルムが伺えます。ポケットの端に打たれたオリジナルのリベットは、デニムのディテールを思わせるこのブランドのアイコン。傍から見て、知っている人にだけ分かってもらえるポイントです。
・C+/シープラス / 2プリーツ ストレッチ ウール混 パンツ
・タリアトーレ / ドッグトゥース バルカラーコート
・フェデーリ / Vネック ニット
・ジョシュア エリス / カシミア マフラー (チェック)
・フラテッリジャコメッティ / カーフスコッチグレインローファー
コートはドッグトゥースの柄物にして、ニットは目を引くビビッドなオレンジカラーを合わせてみました。トップスにポイントを置いたことで、パンツはあえて黒スラでコーディネート。しかしここでクラシックな黒スラですと、途端にフォーマル用のパンツのようにも見えかねません。デニム譲りで、ほどよくスタイリッシュなカジュアル味を加えられるのも、ほかにはないC+/シープラスだけの魅力なのです。
こちらのモデルも上掲の「RID-SMILE」、真っ黒無地のタイプです。いわゆる黒スラは、モードなコーデに使いがちですが、こんなふうにクラシックなカジュアルスタイルにもハマるところが進化系ならでは。冬のシックなドレスカジュアルには、C+/シープラスの進化系パンツでほどよい品格を加えるのが良さそうです。
・C+/シープラス / 2プリーツ ストレッチ ウール混 パンツ
・タリアトーレ / 三織混 チェック メタルボタン 2B ジャケット
・フェデーリ / クルーネック ニット (CASHMERE)
・パラブーツ / グレインレザー Uチップ シューズ / グッドイヤー
スラックスでは少し固すぎる印象になりそうなスタイリングでも、デニム譲りの“進化系”ならでは抜き加減がよくわかるショット。C+が作る進化系パンツはジャケットに合わせたときの相性の良さも窺えます。平面で縫製されるデニムパンツと違い、腰回りには2プリーツをあしらい、裾に向かって綺麗なテーパードシルエットを描きます。デニム由来のC+でもこれならカジュアルだけでなく、オンタイムでも使えそうじゃないですか。
チェックのジャケットはメタルボタンをあしらったブレザータイプ。グレーとブラウンのファンシーチェックになっておりちょっとくすんだトーンですが、ここにビビッドな赤のニットを合わせたのはベージュのパンツとの相性の良さも考慮してのこと。ジャケットの柄行を活かしながら、しっかり新鮮な雰囲気にまとまっているのもボトムズがベージュカラーだからなんですね。
デニムを手掛けるカジュアルパンツのファクトリーならではのセンスと技術が詰まったC+/シープラスの進化系パンツ。ストレッチを効かせた伸縮素材の快適な履き心地と、ライダーズもジャケットもこなせるオールマイティなボトムズシルエットは、進化系パンツをまだはいたことが無いという人には衝撃的かもしれません。「普段、カジュアルパンツはデニムしかはいたことがない」という人も、きっと気に入るはずです。
撮影協力:British Hills