2023.03.08
ボリオリといえば「Kジャケット」や「ドーヴァー」のモデル名が思い浮かびます。アンコン仕立てをメンズスタイルの主流にして、ジャケットにモデル名を冠して語ることを定着させてのもボリオリ。でも「Kジャケット」や「ドーヴァー」よりも以前からあった「コート」をご存知でしょうか。ジャケットに洗い加工を施して、まるでヴィンテージデニムのように着込んだ風合いを与えるという、それまでのメンズクラシックになかった新しいコンセプトを持ち込んだ画期的なモデルなのです。
・ボリオリ / コットン&リネン 2B ジャケット(COAT) 140,800円
・ジョンスメドレー / シーアイランドコットン ミニボーダー クルーネックニット 33,000円
・ベルウィッチ / 2プリーツ リネンパンツ(ardbeg) 42,900円
・ペリーコ サニー / レザーサンダル 33,000円
ボリオリのブランド名を一躍世界に知らしめたのは、2003年、カシミヤに洗いを掛けるという大胆な技法で話題となった「Kジャケット」でしょう。その後、2008年に登場した「ドーヴァー」はアンコンジャケットの金字塔ともいうべき嫋やかな曲線美を描くまったく新しいジャケットスタイルをメンズファッションに持ち込みます。
コンセプトとして「モダンクラシック」を明確に掲げたファクトリーブランドとして、現代のメンズスタイルを牽引してきたボリオリですが、Kジャケットやドーヴァーよりも、ブランドコンセプトを最初に体現したのは、1999年に登場した「コート」というモデルなのです。
コットンベースのジャケットに後染め(ガーメントダイ)加工を施して、くったりと着込んだ風合いを載せたコートは、まるで父から息子への「おさがり」のような雰囲気を醸していました。これこそが当時、ヴィンテージデニムの「着込んだ味」をクラシック服でも表現したいと考えたボリオリの答えだったのです。「祖父のクロゼットに眠っていたジャケットや、父が着込んでシワのついたスーツの、あの着込んだ雰囲気がカッコいい」と、当時ボリオリの新コンセプトを打ち出したディレクターも語っていました。
「コート」は継続してリリースされていましたが、Kジャケットやドーヴァーの影に隠れて主だって語られることは少なかったようです。しかしながら気軽なコットンのジャケットが、いまどきのリラックスカジュアルにフィットすることは明らか。しかも今季のコートは、初出時のような洗い加工、後染め(ガーメントダイ)加工により原点回帰を果たしています。まさに「いま着たい着込んだ味」を体感できるジャケットといえるのではないでしょうか。
・ボリオリ / コットン&リネン 2B ジャケット(COAT) 140,800円
・フィナモレ / リネンシャツ 37,400円
・ベルウィッチ / 2プリーツ ウール&ポリエステル サイドアジャスターパンツ(scotch) 35,200円
上掲のグリーンも、先染めだとどこかコスプレ風が出てしまうもの。しかし後染めのコットンリネンなら、まるでヴィンテージのジャケットのような風合いで気兼ねなく着こなせます。こちらのベージュも「春夏らしく淡い色合いのジャケットを着たい」という方にぴったりの色出し。ラペルエッジのパッカリングや、肩からスリーブにかけて、いかにも長く愛用しているかのように着込んだアタリがでていて、ドレッシーなのに気取りのないジャケットスタイルが表現できるのです。
・ボリオリ / コットン&リネン 4B ジャケット(COAT) 151,800円
・ジョンスメドレー / シーアイランドコットン モックネックニット 34,100円
・ベルウィッチ / コットン&リネン 2プリーツパンツ(tomy) 45,100円
・ペリーコ サニー / スリッポン スニーカー 38,500円
前出の2つのジャケットは共にコットンリネンの春素材。もう一点、同じコットンリネンのダブルが登場しています。こちらは最近のトレンドでもある4Bのカジュアルダブルをアンコン仕立てにしたものだけに、シャツジャケットのように羽織る着方が似合います。洗いを利かせたコットンリネンは、形的にはダブルのジャケットというドレス服なのに、まるでヴィンテージのコットンジャケットのような雰囲気とトレンドの4Bダブルが共存するハイブリッド。堅苦しさのないダブルジャケットとしては、これ以上のものはないでしょう。
今あらためて再評価されているボリオリは、今日のアンコンジャケットブーム真の立役者でもあり、たくさんのフォロワーたちが目指してきた頂点でもあります。カジュアルジャケットの最高峰を求めるなら、確かな選択といえそうです。
商品に関するお問い合わせ先
(株)アマン lst-aman.mens.br@aman.ne.jp
Producer : 大和一彦 / Styling & Direction : 四方章敬 / Photographer : 酒井貴生 (aosora) / Hair&Make : Takuya Baba (Sept) / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎 / Model : GEORGE WEBB (CINQ DEUX UN)