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SPECIAL INTERVIEW進化系パンツへの新たな挑戦

2018.09.04

人気ブランドのキーマンから話しを聞くB.R.ONLINEのスペシャルインタビュー。それぞれのブランドの根源にあるもの、クリエイションへの思い、発想の原点に迫ります。

今回はパンツ専業ブランドシープラスを手がけるF.G.1936のCEO、マウリツィオ・カウッチさんと、マウリツィオさんの兄フィリッポさんの息子さんで同社の海外営業部門を担うアルベルトさんが来日。2014年の日本上陸以来、破竹の勢いでマーケットを拡大している、いま注目のブランドの、その売れている理由を伺いました。

F.G.1936 CEO

マウリツィオ・カウッチさん

1964年生まれ。ローマの東、アブルッツォ州のパンツファクトリーF.G.1936社の現CEO。サルトだった祖父フィリッポ・カウッチが立ち上げた工房はその息子アルベルト(マウリツィオの父)の代に生地商として財を成し、1960年代にパンツの工房を設立。現在、兄のフィリッポが生産面を、弟のマウリツィオが経営面を担っている。黒のジャケットをモダンに着こなすマウリツィオは、「ファッション、ファッションしているのは好きじゃない」といいながらも華麗にモードを着こなすファッショニスタ。自身のインスタグラムでは、Tシャツ&デニムのハイエンドなストリートスタイルも披露している。

F.G.1936 マネージャー

アルベルト・カウッチさん

1991年生まれ。マウリツィオの甥にあたるアルベルトは、2017年から家業に入ったマウリツィオの兄フィリッポの息子。ロンドンのウェストミンスター大学に留学経験があり英語が堪能。そのため現在、F.G.1936社の海外営業部門を担っている。前職はイタリア最大の生地メーカーグループ、マルゾット社で営業アシスタントとしての経歴を持つ。20代という若者らしく、タイドアップしたダブルのジャケットに自社のデニムをあわせる軽快なスタイリングは、次世代のクラシックを担う強い意思が表れる。


80年代の栄華を超えて

B.R.ONLINE編集部 (以下 編集部)「C+」の日本展開は2014年からと、まだ目新しいブランドです。どのようなブランドか、あらためて教えてください。

マウリツィオ・カウッチ (以下、マウリツィオ)生地商だった父が開いた、小さなパンツ工房が拡大し大手メーカーのOEM生産を請け負うようになりました。80年代には「カウッチ」「コーベル」といったイタリア屈指のデニムブランドを手がけていましたが後に縮小。私の代からリスタートの意味ではじめたデニムブランド「リハッシュ(※編集部注:「Re-Hash」はイタリア語でリスタートの意)」と、かつての「コーベル」を超える意味で「シープラス(C+)」と名付けた2つのブランドを展開しています。

編集部シープラスとリハッシュとは、どう違うのでしょう?

マウリツィオリハッシュは2001年に始めたトータルブランドですが、日本ではデニムをメインに展開しています。シープラスは2007年にパンツ専業ブランドとして立ち上げ、デニムやコットンなどのカジュアルパンツを展開しています。リハッシュは、かなりウォッシュアウトしたデニムもラインナップされていますが、シープラスにはワンウォッシュ程度のきれいめのカジュアルパンツが中心です。

マウリツィオシープラスが使っているデニムは、一部を除いてカンディアーニ社というヨーロッパのナンバー1デニムメーカーの素材を採用しています。すべて明らかにしているのは、生地の構造や洗いの掛け方、水やエネルギーの使い方までオープンにすることで私たちがこだわっていることを理解してもらいたいと考えているから。生産背景をすべて詳らかにすることで、あらためて人々が環境問題に関心を持っていただけると思いますし、私たちの製品に愛着も沸くものだと思います。

編集部日本人は生産背景を知ることで、興味を持ち、ブランドに愛着を持つことが少なくありません。シープラスのそういう面にはとても共感すると思います。


大切にしたいドレスとカジュアルのさじ加減

編集部じつは今、日本では、ベルトレスだったりウェストシャーリングだったりと、ドレスパンツのブランドがつくるカジュアルなパンツが人気です。裏地を省いて、芯地は軽く、スニーカーが合わせやすいのも特徴的です。その逆転の発想で、シープラスにウール素材のパンツがあったらいいのにと思うのですが、いかがですか?

マウリツィオパンツのカジュアル化傾向は海外の都市部でも見られます。弊社のリサーチ部門は世界中から情報を集めていますので、市場の傾向は把握しているんです。なかでも日本人はとてもセンスよく洗練されていますので、カジュアルとドレスの中間のパンツを上手にはきこなしているというレポートがあがっています。そこへ対応するために360度、あらゆる角度から日本のマーケットに適した商品を投入できる準備があります。

アルベルト私たちは年間500万本を生産する規模を備えています。シープラスでは、スポーティとドレッシーのさじ加減を様々に展開していますが、自分たちの個性を残しながら、それぞれの市場に合わせた展開もしていきたいですね。絶対に忘れてはならないのは、私たちのアイデンティティを見失わないこと。それさえ貫ければ、どんな市場でも勝負できると考えています。

編集部楽しみですね。ところで今季から、日本の総代理店が変わりましたが、それによって何か影響が変わりますでしょうか?

アルベルトシープラスを、日本でも多くの人に知ってもらうために強力なディストリビューターは不可欠です。最新の技術、最新のコレクションを揃えていても、それが人々の元に届かなければ意味がありませんから。

マウリツィオ私たちが届けたいユーザーは、コンテンポラリーな男性です。そのためには実力あるディストリビューターの手助けが欠かせません。今春のピッティ・ウォモでもそれを実感しました。これからもっと、たくさんのひとを満足させるコレクションを作り続けていきたいと思っています。



CREDIT
Photographer : 岡田ナツ子 / Writer : 池田保行 (ゼロヨン)
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