2021.09.30
「年中素足履き」を公言する戸賀さんの足元は、スニーカー・革靴様々。たくさんのブランドを履かれてきましたが、今回はなかでも思い入れの強い「ジョンロブ」のローファー&スリッポンについて語っていただきました。
「初めて履いたのは、20年ぐらい前。最初は茶色のロペス。その後、何足買ったか覚えてないけど、いまもファーストロペスは捨てられずに取ってある。履き皺もかなり入ってるし、傷だらけで、とくにリペアもしてないんだけど、どうしても捨てられない一足なんです。」
服はもちろん時計も鞄も「飽きっぽいので、すぐに人にあげてしまう(笑)」という戸賀さんが、それほどまでに思い入れを強めたロペス。ジョンロブの定番スリッポンは、どうしてここまで魅力的なのでしょう。
「とにかく一足目から感動したことを覚えています。既成靴なのに戸賀の30cm(!)の足にぴったりで、履くときにシュポっていう。亡くなった服飾評論家の落合正勝先生が、良い靴は履くときにシュポって言うと書いているけど、それを知った初めての靴といってもいいんじゃないかな。」
ロペスの魅力はそのフォルムとともに堅牢なつくり、そしてどんなスタイルにも似合うところだと戸賀さんは言います。
「ローファーでグッドイヤーウェルト製法と聞くと、足慣れするのに時間がかかると思うじゃない。ソールはたしかにしっかり堅牢だけど、履き心地は意外と柔らかいんだ。ハンドステッチのエプロンが甲をやさしく包んでくれるので、アッパーが柔らかいんだよね。エルメスグループに属しているので革質は間違いなく世界最高峰。雨は気になるけどね(笑)」
この日はホワイトデニムだった戸賀さん。流行りのボトムズから、定番まで、合わせやすいのもロペスの魅力です。ときにクラシックなスーツにも似合います。
「戸賀は昔からスーツに素足でスリッポンをあわせてたけど、そのときの靴はロペスが多かったな。モデルによっては、ちょっと地味かなって思うこともあるけど、パテントやダブルソールなど、じつは兄弟が多いんだよね。」
たしかに、素材だけでなくソールやラストも微妙に違うコレクション。戸賀さんもモデル名を覚えていないのだそう。でも、そんなことお構いなしなのは、あくまでも戸賀さんは、靴コレクターとしての収集家ではなく、実用してこそジョンロブの良さを体現しているからでしょう。
「靴って、あまり派手すぎるとチャラく見えがちだし、クラシック過ぎてもおカタく見えちゃう。ジョンロブのスリッポン&ローファーって、その点絶妙な塩梅だよね。」
これまでロペスに限らず、購入したスリッポンは、この日お持ちいただいただけでも5足。「紐靴もあるし、あげちゃったり、スリッポン感覚で履くダブルモンクまで入れたら、これまで何足買ったか覚えてないなぁ」という戸賀さんです。
お気に入りのモデルを尋ねると「ネイビースエードはラバーソールなので、クルマ移動の雨の日用。戸賀の白ロペスは鹿革なんだけど、鹿ってめちゃくちゃ革がやわらかくて気に入ってる。その代わり、伸びやすいのが玉に瑕。ハーフサイズ下を買うべきだった(笑)」と。そんな失敗をもとに、いま同じロペスはハーフサイズ下を探してもらっているのだそう。さらに、もう2足、スエードのロペスをオーダー中なのだとか。
「スエードは痛みも早いだろうから、2足を交互に履くつもり。今のうちに一生ぶんのジョンロブを手に入れておこうと思ってね。靴だらけのクロゼットの中を処分してって、妻にいつも言われてるけど、ジョンロブだけは文句言わない。だからジョンロブなら増やしてもいいのかなって勝手に思ってます(笑)」