2019.11.14
上下共地のセットアップスタイルがブームのなか、スポーティでカジュアル寄りのデザインが多いと思いませんか。そこで、ビジネスにもカジュアルにも着られますが、ちょっとだけドレス&フォーマル寄りのセットアップを、ナノ ライブラリーからお届けします。
▲ ナノ ライブラリー / フラノツイルストレッチ セットアップシングルジャケット
▲ ナノ ライブラリー / フラノツイルストレッチ セットアップパンツ
▲ ナノ ユニバース / シルクカシミヤ14GGクルーネックニット
若いビジネスマンの間でもシャカシャカ素材のセットアップスーツが人気なうえに、大人たちもテーラードスーツにカットソーやクルーのニットを合わせる気軽なスタイルが流行しています。戸賀さんがディレクターをつとめるナノ・ユニバースでも、以前からセットアップスーツをリリースしていますが、今季も新作が登場しました。ビジネスに限らず、ドレスシーンを意識したこちらのセットアップは、フラノツイルストレッチを使ったセットアップ。ソフトなフランネルタッチの素材には伸縮性があるので動きやすく、ディテールデザインにもこだわりが見られる“遊べて動ける”セットアップになっています。ちなみにニットはリピーター続出、オリジナルのシルクカシミヤニットです。
「最近はどこのブランドでもスポーツウェアとスーツの中間をいくセットアップスーツを手掛けているんだけど、ちょっとカジュアル寄りなものが多いじゃないかなって思うんです。シャカシャカした素材はたしかに着やすいけれど、ドレスかカジュアルかといえばカジュアル寄り。ブルゾンやパーカのセットアップもあるぐらい。そこでナノ ライブラリーでは、もう少し大人っぽさのあるドレスでモード寄りのセットアップを作りました。素材は起毛感あるフランネル風で、もちろんストレッチ性も備わっています。大人が着られるシルエットで、ビジネスにもフォーマルにも着ていけるような、ステイタス性あるデザインを取り入れています。」
戸賀さんが自ら着ていくようなシーンを想定したら、ホテルのラウンジでの打ち合わせや、バンケットホールのレセプションパーティ、ミシュランホルダーレストランでの食事会に、箱根の隠れ家旅館まで、フォーマル感ある装いが求められるのも頷けるというもの。じつはこのセットアップ、戸賀さん行きつけのドレスアップシーンに相応しい遊び心あるデザインが、さりげないディテールに様々取り入れられていました。
まず気がつくのはナロウラペルのノッチ部分。ショールカラー風なうえにセミピークドになっていて、まるで拝絹仕様のタキシード風。緩やかにカーブするラインもフォーマルなスーツのエレガンスを感じさせるものになっています。胸ポケットも逞しい胸板を想像させるバルカラインになっていて、袋布を引っ張り出すと水玉柄のポケットチーフを挿したようになるギミックも採用されています。
さらにボタンは4つ穴ボタンとフラットボタンを組み合わせた「つづみボタン」。左右の身頃両方に空いたボタンホールに留める際、通常の左前だけでなくフォーマルな拝み合わせにもできるようになっています。上衿裏にもポケットチーフと同じ水玉柄が使われていたり、ジャケットの内ポケットの玉縁にはチェック柄、パンツのウェスマンには迷彩柄といった具合いに、表立って見えない各部に遊び心が満載なんです。
「表は無地なのに、見えないところに柄を使っているのは、それを見せられる人にだけの特権です。ジャケットを脱いだときに、ハッと気付かれると、お店の人とかクロークの人に好印象で、覚えてもらいやすかったりもするので、なにかと得なんですよ (笑)」
戸賀さんは口にされませんでしたが、パンツの裏の迷彩柄が、やけに意味深。こういうところの遊び心、若い人だとギラついてしまいがちですが、大人なら余裕をもって楽しめるのではないでしょうか。
▲ ナノ ライブラリー / フラノツイルストレッチ セットアップダブルジャケット
▲ ナノ ライブラリー / フラノツイルストレッチ セットアップパンツ
ナノ ライブラリーのセットアップは同じ素材でダブルも用意。こちらも雄々しいワイドピークのダブルではなく、ナロウなセミピークの4つボタンダブルです。袖の飾りボタンが2つでボタンホールを斜めに設定しているのはシングル同様。持ち出し長めでサイドアジャスター、バックポケットが左右ともフラップ仕様のパンツは膝位置も高く脚長効果バツグンです。
「よく、シーンを問わずって言うけれど、やっぱりシーンは問うべきで、その場所の雰囲気と、同席する相手に合わせた服装は絶対に必要です。同席相手がそれほどファッションに詳しくない場合、スポーツ素材のラフなセットアップスーツは逆効果。そんなときでも通用する素材とデザインを選んだので、ドレスシューズを合わせれば、人に会う機会の多い年末年始のパーティシーンにも着ていける一着なんです。」
Producer : 大和一彦 / Photographer : 鈴木泰之 / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎