
2019.09.27
コート専業として知られる「シーラップ」の素顔をご存知でしょうか。海の男たちのための頑強なコートを生み出してきた歴史と、ブランドの原点回帰を遂げた今季の新作コートも含めて、これまでにない「マリーナ」をテーマに掲げるポップアップが開催されます。
・シーラップ / コート ( FLOENS TOKYO )
・シーラップ / ニット ( FLOENS TOKYO )
・ピーティーゼロウーノ / パンツ
・フラテッリジャコメッティ / ブーツ
シーラップは1935年、ミラノに創業したアウターウェアのファクトリーブランド。トレンチコートをはじめとする多様なコート作りに定評がありますが、もともとはレインコートの専業メーカーでした。パリやロンドンの有名メゾンからお声がかかり、コートのOEM生産を請け負うようになり、80年代になると有名メゾンがこぞって依頼するコートファクトリーということで、その名が知れ渡るようになりますが、日本でも知られるようになったのは最近のこと。現在もビッグメゾンのファクトリーでもあるので、クロゼットのコート、もしかするとシーラップ製かもしれません。
「シーラップ」というブランド名は、英語の「Sea(海)」とイタリア語の「Lupo(狼)」との造語です。創業者はピエロ・キエーザとジェルマナ・キエーザ夫妻ですので、どこにも「Sea」も「Lopo」もありません。ではなぜ、こんなブランド名なのかというと、そこにはブランドに込めた意味がありました。
「シーラップ」という言葉の元をイタリア語でたどると「Lupo di Mare」、英語なら「Sea Wolf」、つまり「海の狼」です。そこでハッと気づかれた方もいるかもしれませんが、小説の題材やタイトルにも使われる「海狼」という言葉の語源なんですね。「海狼」とは、熟達した船乗り、船長のことを指す言葉。つまりシーラップは厳しい気候・過酷な環境下で生きる海の男たちのコートを想定して作られていたのです。そのため防水性や保温性など機能性を重視した、高品質なコート作りを続けてきたというわけなのです。
前置きが長くなりましたが、この秋、シーラップはそんなブランドの原点に立ちかえり「マリーナ」をテーマにしたコレクションを展開しています。ゆえに海の男のためのコートが目白押しなんです。
たとえば北欧の漁師たちの防風防寒着が元になったといわれるダッフルコート。錨の編み柄タートルニットをインに着て、より海のイメージを強調しつつも、グレスラ合わせにして街着のドレス感を漂わせます。ジャケット代わりに羽織るスタイリングは、ダッフルコートをスポーティなカジュアルアウターとして昇華したもので、昔の重たいダッフルコートのイメージを払拭しています。
ちなみにこちらのヘリンボーンンウールのダッフルコートはシーラップの新作。そしてなんとこのニットも、ブランド史上初登場というニューアイテムです。初のアウター以外のコレクションとして、大いに注目されています。
・シーラップ / コート ( FLOENS TOKYO )
・シーラップ / ニット ( FLOENS TOKYO )
・ベルウィッチ / パンツ
・シーキューピー / スニーカー
シーラップではトレンチコートと並んで、ピーコートも定番です。ピーコートとは元々フランスの漁師の防寒着として生まれ、後に英国海軍の艦上コートとして着られていたアウター。ダブルのフロントは左右どちらからも留められるようにボタンが付けられていて、風向きに合わせて前合わせを変えることができるようになっていました。しかも「ピー」には重たい厚手のウール生地を指すという説とともに、錨の爪を指す言葉ともいわれ、こちらもマリーナを象徴するコートなのです。
コーディネートは、上掲のダッフルコートに倣って。インのニットの編み柄は、シーラップのアイコンでもある、レインハットをかぶり、パイプを加えた男のマークです。“シーラップ マン”とも呼ばれる彼が何者なのか、すでに創業当初を知る人もなく、いまでは知る由もないのですが、前述した「海狼」は、キャンプテンハットにパイプをくわえているというのがパブリックイメージとされています。そこで「海狼がレインコートを着ている様子」をイメージして、当時の創業者が遊び心でレインハットを被せたのではないでしょうか。そんな風に思いを巡らせることができるのも、歴史あるブランドならではなのかも。
・シーラップ / コート ( FLOENS TOKYO )
・シーラップ / ニット ( FLOENS TOKYO )
・ベルウィッチ / パンツ
・フラテッリジャコメッティ / ローファー
シーラップ定番のピーコートには、膝上丈のロングタイプもラインナップされています。ショート丈のピーコートと違い、こちらはやや大人びた表情のドレッシーな印象が漂うもの。そこで、インナーにはシンプルな無地のタートルニットを合わせてみました。ちなみにリブニットのこちらのタートルも、シーラップの新作アイテムです。ボトムズはあえて奇をてらわず、シンプルにグレースラックス、足元はローファーを素足ばきして、ドレスアイテムをカジュアルに着るスタイリングを忠実に再現しています。
こちらのロングピーコートはライニングに保温性の高い高機能ポリエステル綿「サーモア」を採用しているので冬場も暖か。よくメルトンのジャケット&コートは、保温性が低くいためインにニットやジャケットを重ねて着膨れしてしがちですが、こちらのコートのように中綿仕様なら、インは薄手のニット一枚で済みますし、着膨れせずにスマートなシルエットをキープできるんです。
・シーラップ / コート ( FLOENS TOKYO )
・シーラップ / ニット ( FLOENS TOKYO )
・ベルウィッチ / パンツ
・シーキューピー / スニーカー
こちらのショートコートはメタルボタンのブレザー風。モールスキンのメルトン素材は軽い風合いで着心地も軽いもの。ニットのショールカラーにダブルブレスト、袖口に錨のエンブレムをあしらって、マリンジャケットらしい趣が漂います。ジャケットのマリンな気分を最大限に活かすためにも、インはクルーネックのニットにして、パンツはちょっと太めテーパードの今風シルエットが似合います。足元はスリッポンタイプのスニーカーで、あくまでカジュアルに着るのがおススメです。
ざっとこんな感じでシーラップのウィンターマリンを象徴するアイテムをご紹介してきましたが、新作のマリーナなアウターは、まだほかにもラインナップがあります。ブランド史上初となるニットのモアバリエーションとともに、定番人気でビジネススタイルにも着こなしやすいトレンチコートのバリエーション、そしてユーティリティなパッカブルコートや、男クサさも満点なタイロッケンコートもお目見えしています。
商品に関するお問い合わせ:
FLOENS TOKYO
https://floens.jp/
・10/2 Wed. - 10/8 Tue. 伊勢丹新宿店メンズ館5階=メンズテーラードクロージング
・10/5 Sat. - 10/24 Thu. エストネーション 六本木店
ラグジュアリーメゾンが認める実力派でありながら、まだ人と被らないコートを探している方は、ぜひともシーラップを検討してみてはいかがでしょうか。