
2018.10.25
声高に主張せずとも、さりげなく柄入りだったり、さりげなく上質素材だったり、接近戦で威力を発揮させるのが大人のお洒落の作り方。これからの季節、カシミヤなどの上質素材を選ぶのが正解です。
・イザイア / カシミアライトツイードグレンチェック2Bジャケット
・レンコントラント / タートルネックニット
・マリア サンタンジェロ / ウォッシュドコットンライトネルワイドカラーシャツ
・ジェルマーノ / 2プリーツ テーパード パンツ
大人のお洒落は、アンダーステイトメントを心掛けてこそ。エキセントリックなデザインや大胆な色柄で主張するのではなく、一見シンプルでベーシックなのに、じつは細かな柄入りだったり極上タッチの上質素材を使っていると、近くでお会いしたときに「このひとお洒落だなぁ」と思われるものです。さりげなく良質なものを着ているひとは、育ちの良さとともに知性や信頼性など確かな人柄を感じさせるものです。
今時分の季節なら、着こなしにカシミヤを取り入れるのが得策です。カシミヤはウールに比べて繊維が細いので肌当たりが優しく、表面がキューティクルに覆われているため滑らかで上品な光沢があり、細く絡まるので空気を含んで暖かいといいことづくめ。「繊維の宝石」と呼ばれる理由も納得がいきます。しかしながらこのカシミヤ、産出量より流通量が上回るというおかしな統計が出回っているように、偽物や混率偽装があとをたちません。安価なカシミヤは注意が必要。本当に上質なカシミヤは希少性が高いので、信頼性のおけるブランドと、それなりのお値段で選ばなければならないのです。
たとえばこちらのジャケットはご存知、ナポリの名門イザイア。千鳥格子をブラウンベースのカラーにアレンジしていて、しかも大柄のチェックも品よく見えるのは、カシミヤならではの落ち着いた発色ならでは。そこへ合わせたタートルニットは、レンコントラント。聞き慣れないブランド名ですが、女性デザイナーが手がけるフランスブランドで、ニットの生産は日本のファクトリーを使用しています。しかもこちらのタートルは、カシミヤにロシアンセーブルを混紡したもの。セーブルはイタチ科の動物で、格段にラグジュアリーなファーコートなどに使われる超高級素材です。なかでもロシアンセーブルはミンクと並び称される「毛皮の女王」。そのタッチはウール×カシミヤとは比べ物にならないほど、とっろとろなのです。ブラウン×グレーの同系コントラストで合わせるあたりもアンダーステイトメントな印象で、あえてコントラストをつけないジャケット&ニットのコーデは、今年らしくもあります。このコーデ、もう一箇所ポイントがありますので、それは以下にてご紹介しましょう。
甘編みのハイゲージタートルは、ゆるっとしたシルエットもパリっぽいムード。イタリアモダンなドルチェビータとはひと味違います。しかもカシミヤとロシアンセーブルの混紡メランジニットは軽くてふわりと温かく、上品な大人のニットにふさわしい品格を備えています。タートルのインに着た白シャツの衿を立てて、首元から覗かせる小技使いはピッティ・ウォモでも多くのウェルドレッサーが取り入れている着こなしテク。白を差すことで秋冬のシックな着こなしにワンポイントの余裕が生まれて、こなれた印象に仕上がるというわけなのです。
Producer : 大和一彦 / Styling & Direction : 四方章敬 / Photographer : 鈴木泰之 / Hair&Make : Takuya Baba (Sept) / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎 / Model : Dorde (Cinq Deux Un)
撮影協力:群馬県立館林美術館