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自由が時代を作る Vol.5浄玻璃のレディ・JACK

2023.01.16

JACK=ジャケットの構築性が崩壊してから、男女の性差は論じるに値しない無意味な存在である。それは単なるカシミヤのラグジュアリーを浮き上がらせるフレームであり、着る人を彩るしなやかなレリーフ。ラグジュアリーとは纏うものか、それとも醸すものか。エレガンスは、モダニズムとは。すべてはERIKOの瞳に映し出されている。


素肌が高揚するカシミヤのダブルブレスト

JACKはティト・アレグレットの極上カシミア。11cm幅のワイドラペルを有する雄々しくも優雅なダブルブレストをふわりと纏えば、女性には逞しく、男性には嫋やかな、ラグジュアリーかつグラマラスな時を堪能できる。袖付けはナポリが誇るマニカカミーチャ。シャツのように仕立てられているからこそ、ガウンのようにERIKOの裸を包み込む。こんなにも美しい一着に綺羅びやかな宝飾は無用。ボタンのエッジにあしらわれたゴールドが唯一のジュエリーのように煌いていた。

白と黒の狭間に浮かぶクラシック柄のミューズ

降りはじめの粉雪のように、黒に白を散りばめたハウンドトゥースのカシミヤ混JACK。その織り柄は夕空に舞う千鳥の群れ、あるいは夜明け前の満天の星か、幻想的なモノトーンのコントラストを描いている。ここへ合わせたのは黒シャツとブラックデニム。厳格なクラシックとは対極の組み合わせも鹿爪らしさを緩和して、嫋やかに舞うミューズのローブという役割を担う。大胆な両極のコーディネートは、伝統と格式という制約に囚われない、艶やかなミューズの装いだったのだ。

深いドレープに映し出されるカシミヤのリアル

タリアトーレのJACKは、まるでショールのような羽衣感。靭やかとも嫋やかとも表現できない、アンコンストラクションのニュアンス。それは身体のラインに追随しながら、深いドレープによってジェンダーの不問を明確に言い表しているかのよう。その鮮明と対になるのは、甘さを抑えたベージュカラー。素材の美しさが顕著に表れる色味だけに、糸から吟味したこだわりと自信を現している。そこに本物のカシミヤだけがもつエレガンスと、偽物には醸せないリアリズムが溢れだしている。

CREDIT

Producer : 大和一彦 / Styling & Direction : 四方章敬 / Photographer : 川田有二 (Riverta Inc.) / Hair&Make : Takuya Baba (Sept) / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎 / Model : ERIKO – 大部恵理子 (ACALINO TOKYO)

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