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SPECIAL INTERVIEW今秋10周年を迎えるデ・ペトリロが快進撃を続ける理由

2019.07.05

ブランド設立10周年を迎えたデ ペトリロ。昨秋、伊勢丹新宿店メンズ館で行われた公開収録以降、人気はさらにうなぎ登りで、いまや破竹の勢いです。先日来日したベニーさんに、今秋の最新コレクションについて解説してもらいました!


デ・ペトリロ オーナー

ベネディット・デ・ペトリロ さん

1959年ナポリ生まれ。1980年代初め、義父の経営する縫製工場で経験を積み、1987年、アパレルメーカーを設立。90年代には、アントニオ・ラ・ピニョッラ(元キートンのモデリスト、アントニオ・ピニョッラ氏が手がけたクラシックブランド)に取り組み、サルトの技術や表現を学ぶ。2009年、デザインから生産、販売までを一貫するデ・ヴィ・インダストリア社をナポリ郊外の町、フラッタマッジョーレに創立。自身の名を冠したデ・ペトリロをスタートさせた。B.R.ONLINEでも有名な愛称はベニー。


伊勢丹の公開収録以来、
国内でのデ・ペトリロ人気が不動のものに

B.R.ONLINE編集部 (以下、B.R.)昨秋の伊勢丹新宿店メンズ館で行われた「B.R.CHANNEL Fashion College」の公開収録以来、日本のファンがベニーさんに親近感をもってくれています。

ベネディット・デ・ペトリロ (以下、ベニー)あのイベントは、とても良いものでした。若い方からミドルまで、幅広い年代の方に愛用いただいていることがわかって、とても嬉しく思いました。特にお客様と直接、フィッティングやコーディネートのアドバイスなど差し上げることで触れ合う時間をいただけたことは、私にとって最上の体験でした。

B.R.お聞きになられていると思いますが、イベント以来、伊勢丹新宿店メンズ館ではデ・ペトリロが好調です。フロアでもお客様から目につきやすい、一等地にラックが構えられていますから。

ベニー服作りには情熱をもっていますし、ファッションは皆様に感動を与えることができる仕事だと信じて今日まで続けてきました。その思いを確かに受け取っていただけていることを実感させていただいたことは、こちらとしても感謝の気持ちでいっぱいです。

クラシックは、もっと現代的に楽しんでいい

B.R.近年はビジネススタイルもカジュアル化しているなか、デ・ペトリロは売れ行きがいい。多くの方に支持されています。その理由はなんだと思われますか?

ベニー確かにファッションはグローバル化が進行していて、個性を打ち出したブランドやアイテムは難しい時代です。そのような中でコレクションを作るにあたり、私たちも試行錯誤を重ねています。企画意図とイメージだけが先行してもいけませんし、生産部門の技術面も上げていかなければならないことは言うまでもないのですが、そのすべてに情熱をもって取り組んでいます。それがお客様に伝わっているのではないでしょうか。

B.R.確かにデ・ペトリロは、ドレススタイルをベースにしながらも現代的なスタイリングにあわせやすように考えられていますよね。遊び心がありながら、フォーマルでスタイリッシュな面もある。クラシックを知り尽くした大人から若い人まで着られる服ですよね。

ベニー年齢にかかわらず、現代を生きる人々が納得できるスタイルとデザインを提案しています。コンテンポラリーであることと未来にも残ることができるということは、どちらも大切なことです。もうひとつ大切にしているのは袖を通したとき、すぐに自分のものと感じられること。着心地の軽さや快適さを体感できるデ・ペトリロの服は、クラシック服を「窮屈な服」と思い込んでいる若い人にとって、思いがけない発見の機会となるはずです。

B.R.私たちも現代的なクラシックスタイルの素晴らしさや、「ラグジュアリーカジュアル」と言った新しいスタイルを読者に届けるために、いろいろな提案をしています。春夏のデ・ペトリロをご紹介する企画では、クラシックなスーツにクルーネックニットとスニーカーというコーディネートを紹介しています。

ベニーとても良い機会です。こんな風にスーツをカジュアルに着るのも、現代的で素敵だと思います。デ・ペトリロのスタイルのひとつとして、楽しんでいただけたらと思います。

最新のコレクションは、旅した京都がイメージソース

B.R.今秋冬の話を聞きたいと思います。ズバリ秋冬のスタイルイメージを教えてください。

ベニーデ・ペトリロでは常に私たちの生活や文化からスタイルのイメージやテーマを抽出していますが、今秋のテーマは「庭」です。

B.R.庭? ガーデニングですか?

ベニー「庭」とひと言で言われても伝わりにくいですよね (笑)。そこには様々なエレメントがあるんです。たとえば、庭って誰も手を入れないと荒れ放題になりますが、きちんと手入れをしてやれば素晴らしいものになりますよね。男性の服も、気を配らなければ荒れ放題。まったく無頓着なものになりますが、細かいところに気を使えば、必ずやきちんとした装いが身につきます。メンテナンスすれば、必ず成果がでるというところに相通ずるものがあるのです。

B.R.なるほど、スタイルや色柄にも「庭」からインスピレーションを得たものがあるとか?

ベニー最初に「庭」というキーワードをイメージしたとき、真っ先に思いついたのは昨年旅した京都の禅寺です。手の行き届いた石庭や枯山水は、素晴らしいものでした。

B.R.確か以前、来日されたときに京都に行くと仰っていましたね。

ベニーイギリスでもイタリアでも、庭の手入れをする人は身だしなみも整っている人が多いように思います。日本でもそうではないですか。今回は世界中の庭をイメージした、生地の色柄バリエーションも揃えてみたんです。

B.R.そのなかでも印象的な色柄というと?

ベニー自然の植物のように優しい発色はブラウンやグリーン、石庭のようなグレーは龍安寺の枯山水がイメージソースです。土の色は明るいベージュから濃色のブラウンまでのグラデーションを描いています。前回のコレクションから引き続き、モノトーンも展開しています。これまではグレーを加えたモノトーンでしたが、今回初めてブラック&ホワイトのコントラストを取り入れています。これは雪の庭に石の影を見るようなイメージです。

B.R.「庭」というキーワードから広がる世界観が、とても広大で深いですね。

ベニー庭の木々は、服を着る人々です。庭の木々は国によって傾向がありますが、一本一本違っていてそれぞれに個性があります。どこに住んでいて、どんな生活をしていて、どんな仕事をしているのか、それぞれのパーソナリティが枝ぶりや葉ぶりに現れます。デ・ペトリロはシーズンテーマをランウェイショーで発表するデザイナーズメゾンではありませんが、時代性とともに一人ひとりの個性に寄り添いながら、ブランドのフィロソフィーを提供していきたいと考えています。

10周年を迎えて、さらに進化するデ・ペトリロ

B.R.今年は10周年のアニバーサリーイヤーということで、春からタグのデザインが変わりました。 新しい技術者を採用して、クオリティが向上したとも聞いています。

ベニーじつは最近、チェサレ アットリーニやイザイアなど、ナポリの錚々たるブランドで研鑽を積み、ブルネロ クチネリにも籍を置いていた人物を採用して、副資材や工程まで細かい部分を見直しました。具体的には芯地を変更することでフィッティングが向上し、プレス工程を増やしたことでフォルムに丸みが増しています。腕の前振りの角度も変えたことで、より美しいフォルムのまま動きやすくなっています。例のサンプルも現在制作中ですよ。

B.R.デ・ペトリロ×伊勢丹×B.R.ONLINEのトリプルネームアイテムですね。そちらも楽しみにしています! 今回もありがとうございました。モノづくりの背景に、深い考えがあることが伝わってきました。最後にひとつ聞かせてください。今回の来日では、なぜ髭を生やされたのですか?

ベニーあぁ、これですか。いや、困ったな。いつでもすべてのことに理由があるわけではないんです。シーズンコレクションを説明するより難しいですね (笑)。

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