
2017.10.24
「Gabo(ガボ)」は、ジュゼッペ・ニコーテラとジャンフランコ・アルトベッリ、いとこ同士の2人が設立したファクトリーのプライベートブランドです。以前から少しずつ、スーツ好きが通うショップで展開されていましたが、今秋、日本に本格上陸しました。
そもそもは2人の祖父が、サルトの聖地・カサルヌォヴォで1925年に創業した工房を前身としています。ナポリの著名なサルトの下請け工房が多いカサルヌォヴォは、古き良き伝統的な仕立て技術が受け継がれる街。Gaboのスーツも各部から細やかな手仕事が伺えますが、デザインやフィッティングには現代的なセンスが活かされています。
手仕事の充実ぶりは衿や袖など10か所にハンドを使うというサルトリアーレ。スーツ好きならその魅力は一目瞭然のはずです。襟元から袖にかけてはナポリ特有のラインを描きながら着心地の良さを追求しています。これだけ手を使う仕立ては高級スーツのカテゴリーですが、Gaboは驚くほどリーズナブルです。
こちらはGaboの新作モデル「VESUVIO」。身幅は細く着丈はやや短く、軽やかで若々しいフォルムです。ゴージ位置もウエスト位置も高めの設定です。同時に「カマ」と呼ばれるアームホール下部位置を通常より上げ、スリーブのシルエットも美しく見せるよう型紙に工夫がされています。パンツはプリーツ入りのクラシック仕様。タイト過ぎないフィッティングとシルエットもクラシックなサルトリアーレならではのものです。
ピンドットのグレースーツは、色柄は地味ですが、見るからにやわらかそうで、優雅に仕立てられているので、どことなく男の色気が漂います。ミディアムブルーのレギュラーカラーのシャツにカラーピンで襟もとを絞り、黒地にブラウンの小紋タイを締めて正統にまとめてみました。靴を茶にするとイタリアっぽいですが、あえて黒靴を合わせれば、タイトな襟もととあいまって英国的な気分を盛り上げてくれます。
ワインカラーにブルーのダブルペーンという洒脱なジャケットは、いかにもナポリの男たちが好きそうな色柄です。日本人には思いもつかないような色の組み合わせが、Gaboのコレクションに散見されます。男の色気や洒落気をよくわかっている、ラテンの血ならではのセレクトです。とは言え、さてどうやって着れば?と思われるかもしれませんが、あまり色を使わず、白、黒、グレー、ベージュあたりでさらりとまとめるのが良いでしょう。こちらはブラックデニムにベージュのシャツ。タイの替わりにスカーフを巻いて。スカーフのブルーはジャケットの柄色と呼応させていれば首元だけ浮くこともありません。ネクタイをするよりずっと洒落て見えますし。
こちらはシックなベージュのコーデュロイスーツ。こんなふうにカシミヤの黒タートルでシンプルに着ることができるのは、仕立てのやわらかなナポリのサルトリアーレならでは。英国仕立ての構築的なスーツでは、こんなに寛ぎ感あるスタイリングにはなりにくいのです。
肩傾斜のあるなで肩のショルダーは日本人体型にもぴったりフィット。パンツは旬のワンプリーツですが、キャロット型の最新シルエットは、まだちょっと早いかなと思われる方にも安心してはける、トレンドを意識させない自然なテーパードシルエットになっています。足元は起毛感あるスエードのコンビローファー。コーデュロイスーツをほっこり上品に着るなら欠かせません。
ドレスからカジュアルまで、伝統のナポリ仕立てをモダンに楽しめるこの新ブランド。今季は各セレクトショップや百貨店でも注目されています。「早い人なら知ってる」ブランドだけに、まだの方、お早めにどうぞ。休日にもスーツを気軽に楽しむなら、Gaboはうってつけといって良いのではないでしょうか。