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2019.08.10
牛久保均さん
FCAジャパン 代表取締役 営業本部長
FCAジャパンの牛久保均さんのご登場です。FCAはフィアット、アバルト、ジープ、アルファロメオの4つのクルマ・ブランドを扱っています。それぞれのブランドのキャラクターはまったく異なりますが、共通しているのは“デザイン”ということだといいます。
「輸入車マーケット全体が伸び悩む中、フィアットは6%、アバルトも3%の伸びを記録できました。中でもチンクチェントは、発売11年目になるにも関わらず、コンスタントに年間4000台売れ続けています。これはひとえに、そのデザインが愛されているからでしょう。それから日本市場では、ジープも絶好調です。これもカクカクした唯一無二の見た目が人気の理由だと思います」
FCAジャパンのオフィスは、不思議な丘状のスペースがあったり、会議室の天井から木のオブジェが生えていたりと、まるで現代美術館のようです。ここを訪れると、この会社がいかにデザインというものを大切にしているかがわかります。それからおしゃれな人が多いことでも知られています。
「イタリアの会社だからでしょう。特に女性はおしゃれな人が多いと思います。私がここに来て一番驚いたのは、素足の人が多いこと。前の会社では、女性は皆ストッキングを穿いていましたから(笑)」
そんなFCAにおける、男性のファンション・リーダーが牛久保さんです。
スーツはイザイア。「私は営業一筋、特にディーラー網の整備などを担当していましたから、経営者の方にお会いする機会も多く、スーツは欠かせませんでした。以前はずっとポール・スチュアートを愛用していましたが、ふとしたきっかけでイザイアを着てみたら、妻に『痩せて見える』と言われたのです。それに軽くて着心地もいい」
シャツはバルバ。ネクタイとチーフはマリネッラです。「マリネッラのタイは20本以上持っていますね。自分で生地を選んでオーダーしています。店の人がヴィンテージの生地を取っておいてくれるのです。締めやすいところが気に入っています」
ベルトは、エルメス。
時計は、カルティエのタンク。洒落者垂涎の手巻きモデルです。
シューズは、クロケット&ジョーンズ。
とてもシックな装いですね、というと
「いつもはもっと派手なことも多いのです。明るいブルーのスーツや、ホワイトのタイも身につけますよ。ジャイアンツファンだから、オレンジのタイも持っています(笑)」と。
牛久保さんは、もともとはクライスラーご出身で、同社に25年も関わっているそうです。しかしご存知のように、クライスラーには過去、さまざまな紆余曲折がありました。
1998年、クライスラーはメルセデス・ベンツと合併し、ダイムラー・クライスラーとなりましたが、関係は2008年に解消されます。
「あの合併は失敗でした。お互いに補い合えるところがなかったのでしょう」
2009年には、なんとアメリカ本国のクライスラーが倒産してしまいます。
「本当に驚きました。日本法人の口座には、まだ何十億円ものお金が入っているのに、本国が倒産してしまうとは・・。『会社って、終わるんだ』としみじみ思いました。ある日突然オフィスのプリンターがなくなったり、大変な時代でしたね」
その後、イタリアのフィアットグループと一緒になり、FCAが生まれました。
「ドイツ系企業と一緒だった頃は、皆地味でカッチリしていましたが、イタリア系だと派手で明るい。全身真っ黄色の人がいたり・・企業文化がぜんぜん違います」
現在の愛車は、真っ赤なアルファロメオ ステルヴィオ。
「クルマも派手な色が好きですね。白と黒はクルマじゃないと思っているんです(笑)。このステルヴィオはアルファロメオらしく軽快なクルマです。ハンドリングはキレッキレで、運転していて実に楽しい」
イタリアン・スタイルに身を包んだエグゼクティブには、ベストマッチの一台ですね。
ファッションもクルマも、明るく楽しくカッコよく。そんなFCAを体現するような方が牛久保さんです。
THE RAKE
https://therakejapan.com/
PROFILE
THE RAKE JAPAN 編集長
1965年、東京生まれ。雑誌編集者。 男子専科、ワールドフォトプレスを経て、‘92年、株式会社世界文化社入社。月刊誌メンズ・イーエックス創刊に携わり、以後クラシコ・イタリア、本格靴などのブームを牽引。‘05年同誌編集長に就任し、のべ4年間同職を務めた後、時計ビギン、M.E.特別編集シリーズ、メルセデス マガジン各編集長、新潮社ENGINEクリエイティブ・ディレクターなどを歴任。現在、インターナショナル・ラグジュアリー誌THE RAKE JAPAN 編集長。