2023.12.11
秋から冬にかけて、春夏ほど色を着る機会が減りがちという声を耳にします。たしかに街は黒が多めで、なんとなく都会の冬の訪れを意識してしまいますが、こんな季節だからこそ、色を着ることで気分を変えるのがよいのではないでしょうか。今年の推し色は熟成されたワインカラー、とくにフランス産ボルドーワインのように上品で円熟味ある色味なら、手持ちの黒アイテムと合わせた時に魅力的となるはずです。
・タリアトーレ / ウール&カシミア Pコート 154,000円
・グランサッソ / ハイゲージ タートルネックニット 27,500円
・ピーティートリノ / 1プリーツ ストレッチフランネル パンツ 55,000円
冬になると服が黒ばかりになってしまう方は少なくないと思います。モノトーンと言えば聞こえは良いですが、実際は周りもモノトーンだらけで差別化が利かず、猫も杓子も白黒グレーではファッションを楽しむというより、冬のモノトーンはユニフォームになってしまいます。
そのためポイントカラー、つまり挿し色使いがお洒落を楽しむ重要なエレメントになります。黒ベースでも、どこかに1色、色を挿すこと。シャツやニットなどインナーで挿すのが一般的ですが、そこはお洒落上級者が多いBRですから毎年カラーアウターの一点使いをリコメンドさせていただいています。昨冬はパープル、今春ラベンダーカラー、そして今冬はワインカラー、ボルドー推しです。
ボルドーとはフランスのボルドー地方で生産される赤ワインの色に由来する色。この地のワインは10年以上熟成される重厚さが有名でタンニンも強めをいわれます。もうひとつのワインの産地ブルゴーニュに比べて、円熟味のある大人色といわれる所以。濃厚な深みがあるため黒との相性も格別に良いというわけです。
そこでこちらのピーコートはタリアトーレのカシミア混。深い色味はワインだったら、相当の年代物でしょうか。ウエストをシェイプしたイタリアンシルエットが大人の色気を感じさせ、大振りのリーファーカラーは上襟を立てて着るようにするのがこなれて見えるポイント。インは黒のタートルニットにしてジャケット感覚で羽織れば、ビクトリアンな英国調ロングジャケットの趣さえ漂わせるとあって足元サイドゴアブーツもどこか象徴的です。スリークォーターの膝上丈はインにジャケットやスーツを着たときも収まりがよく、年末年始のフォーマルな場へ出席する時にも羽織っていけそうです。
・サイレンス / BR別注 スウェードライダース 236,500円
・フェデリ / ショートスリーブ Tシャツ 27,500円
・アンティーチポ / ロングスリーブ Tシャツ 17,050円
・ジャブスアルキヴィオ / MASACCIO テクノサキソニー パンツ 42,900円
・シーキューピー / スウェード スリッポンスニーカー 55,000円
ライダースがワインカラーになると、バイカー感を抑えながらロックな気分だけを際立てることができます。しかもスムースではなくスウェードレザーならモードも印象が高まるだけに、スタイリングは自然とモダンな装いです。ワインの円熟味を感じさせるのはスウェードならではの発色で、しっかり染まった地革の色に微起毛の表面が光を受ければ、艶感を纏ったコントラストに大人の渋みすら浮かび上がります。
ここにBR別注のゴールドメタルパーツがキラリ。ジップやスライダー、脇下のベンチレーションに至るまで、さりげなくリュクスなディテールがより一層、都会的なライダースの趣を醸すうえ、2着目、3着目の大人ライダースを思わせて、こなれた着こなしがメイクされるのです。
こちらのライダースはサイレンス。スウェードはゴート(山羊)だけに耐久性に優れるため、0.6ミリと薄手で軽く柔らかいのも特長的です。インラインではジップ式の袖口を、カフス式に変更することでより日常的に使いやすくしてあります。ほら、デスクの上でも袖ジップがカチャカチャ気になることもありません。こういう細かいところに気を使うのがBR別注ならではなんです。
もうひとつ、BR別注ならではのポイントはライニング。写真ではわからないですが、じつはこのライダース、ライニングにキャメルヘアを採用しています。しかも素材を提供しているのは英国最古のテキスタイルミルと言われるジョシュアエリス。ストールやスカーフなどで有名なブランドに、ライニング素材をオファーするなんて、只者ではない使い方です。脱いでも着ても、ラグジュアリーが薫り立ちます。
・ボリオリ / DOVER 4B ジャケット 173,800円
・セッテフィーリ / BR別注 カシミア クルーネックニット 90,200円
・ピーティートリノデニム / BR別注 BAND ブラックデニムパンツ 45,100円
・アールシーエー / キャンバス スニーカー 19,800円
最後のボルドーカラーはジャケット、お馴染みボリオリの名品ドーヴァーです。アンコンならではの、ややリラックスしたシルエットが今っぽくて、しかもダブルの4ボタンというのはモダンスタイル。きちんとタイドアップしたスタイリングはもちろん、こんなふうにデニム&スニーカーのスタイリングもキマるのは、ボリオリが描いてきたメンズスタイルの世界観そのもの。ドレスとカジュアルの垣根を超えるボーダーレスなスタイリングを可能にします。
こちらのジャケットはツィーディなタッチながらカシミア並みのやわらかさ。目付け315グラムは冬ジャケットとしては軽量感があり、さらには仕立ての妙で肩への重さを軽減しているのも、サルトリアーレの技法を継承するボリオリらしいところといえるでしょう。
赤系のジャケットには躊躇しそうですが、ワインカラー色なら落ち着いて見えることもあり、むしろ明るいブルーやグリーンなどの寒色系より着こなしやすそうです。黒と合わせるだけでカジュアルにもドレッシーにも、どちらからも受け入れやすいのもこの色ならでは。光沢系の服のように時間帯も問わず昼間の時間だけでなく、夜の時間の照明にも映えますし、日本人の肌色に馴染みやすいことからも、ワインカラーはトレンドカラーとしても押さえたい、今冬の推し色なのです。