
2023.01.13
機能的なダウンやブルゾンも今風ですが,男のドレス魂をくすぐるのはテーラード仕立てのコート。もちろん特別な日に着るためにも、素材にはこだわってこそ。そこでドレッシーでモダンを究めたラグジュアリーなコートを、いま注目の3ブランドから注目のモデルを紹介します。
・ティト アレグレット / シャドーチェック ダブルフェイス 6B ベルテッド コート
たっぷりとした着丈のロングコートはBR初登場となるティト アレグレット。ナポリスタイルの総本山といれるロンドンハウスで研鑽を積み、イザイアやアットリーニでもVMDとして才能を発揮した彼は、ラルフローレンが開催するディスプレイコンテストで2度優勝を経験。2012年にナポリのテーラードを熟知したクリエイティブディレクターとして自身のブランドを設立しました。
6ボタンダブルのコートは、優雅なラペルと前述した膝下のロング丈が特徴的。上襟には衿腰が付いているので立ち上がりがよく、男っぽく着られるのはナポリの男服をよく理解していればこそ。ラグランスリーブのゆったりと落ちる肩線は、着心地の軽さを得られながら、今っぽいシルエットを描いてくれます。それでいて各部のステッチワークには、クラシックなハンドステッチを用いるなど、目の肥えたウェルドレッサーたちから高く支持されている理由もよくわかる仕様が随所に取り入れられていました。
写真ではポケットに入れてしまって見えませんがバックルのないベルテッドタイプ。腰前でキュッと結んでウェストマークすれば、クラシックでエレガントなAラインを描いてくれます。トーン・オン・トーンのチェック柄は、どことなく可愛らしさのなかに密やかな少年っぽさを滲ませて、大人の男の遊び心を引き出してくれそう。ならば、ジャケット代わりに羽織って、ナポリ男らしいくコートをジャケット代わりに羽織る「スポルヴェリーノ」スタイルを狙うのが良さそうですね。
・デ・ペトリロ / カシミア ビーバー 3Bチェスターコート
・ベグ アンド コー / カシミア ストール
人気のデ・ペトリロからはオーセンティックなチェスターフィールドコートを。コンパクトな肩をもつスリークォーター丈で、ビジネスからオフのシーンまで多彩に使えそうです。シャープなシルエットの美しさは流石の仕事ぶり。定番チェスターを、ここまで現代的にモデリングできるのは、現代のクラシコをリードするデ・ペトリロらしいところでしょう。
このコート、カシミア100%のラグジュアリーな素材使いがされています。織り上げた後に縮絨加工を施してから起毛させ、毛羽を揃えて経糸方向に寝かせるという繊細な工程を行う「ビーバー仕上げ」によって、美しい光沢が浮き上がるラグジュアリーなもの。フォーマルのウールコートに採用される工程を、カシミアに採用しているわけですから、その秀麗なルックスは言うまでもありません。それをあえてカジュアルに羽織ることで、クラシックの魅力を日常的に取り入れる着方こそ、このブランドが目指すところでもあるのです。
これほどまでにラグジュアリーなコートを、あえてカジュアルに着ることを許してくれたデ・ペトリロには脱帽。これまでB.R.ONLINEで何度もインタビューしているように密な関係があってこそ、ここで紹介できる一着といえるでしょう。そろそろ海外渡航の盛んになってきたことで、再びベニーに会える日はそう遠くはなさそうです。
・タリアトーレ / カシミア Pコート
・コロンボ / カシミアマフラー (ビーバー)
こちらはお馴染みのタリアトーレからカシミヤ100のスリークォーター丈コート。ミリタリー出自のピーコートタイプですが、キャメルカラーになるとエレガンスの度合いも高まります。上衿の大きいリーファーカラーは、ハーフで立ち上げてもサマになるうえ、ジャケット風に着たときにクラシック見えするようウエストをシェイプしてシルエットを形成しています。
となればスタイリングはジャケットとして応用。クルーのニットにオフホワイトのスラックスを合わせてキャメルカラーを引き立てることで主役としての役割を担います。ここからタイドアップしたスタイリングも似合いそうですし、もちろんスーツの上から羽織るコートとしての着方も優雅に纏えるサイズスペックは、時代を切り取るタリアトーレ(「裁断師」の意)の手腕が光ります。
ラグジュアリーなコートを、年に1回着るか着ないかでは、タンスの肥やし、宝の持ち腐れ。こんなふうにカジュアルに日常使いすることで、着る人のステイタスを上げてくれるだけに、スタイリングローテーションに加えることをおすすめします。
Producer : 大和一彦 / Styling & Direction : 四方章敬 / Photographer : 鈴木泰之 (Studio Log) / Hair&Make : Shotaro (Sense Of Humour) / Makeup : SHINO ARIIZUMI (TRON) / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎 / Model : FELIX LINDSKOG (THE MANAGEMENT)