2020.11.04
男の象徴的なアイテムはスーツです。しかし、できるオトコは少し先を行っています。一発でオトコをカッコよく見せるレザーに注目しています。仕事着と遊び着の垣根が無くなった今、できるオトコのスタイリングは、オンでもオフでも、レザーがマストアイテムになりました。なぜ、できるオトコが都会的なスタイルにレザーを選ぶのか紐解きます。
・サイレンス / ゴートスウェード シングル ライダース ブルゾン
・フェデリ / ショートスリーブ クルーネック Tシャツ
・ベルナール ザンス / ストレッチ ウール 2インプリーツ パンツ
・フラテッリジャコメッティ / カーフスコッチグレインローファー
TPOはわきまえつつも、できるオトコはつねに自分らしく自由なスタイルが装えるものです。たとえばテーラードジャケット代わりにレザージャケットを羽織る着方も、オン・オフ問わず、品よく着こなします。その際、モダンなスタイリングには、ハードな装飾をできるだけ廃したシングルライダースを。表革よりスエードのほうが、シックな街着に相応しい装いです。
メゾン系ブランドのファクトリーとしても機能するサイレンスのライダースジャケットは、素材も縫製もシルエットパターンまでもメゾンクオリティ。きめ細かいスエードは、6ミリ厚のゴートスエードで、カーフよりやわらかでラムより男っぽい、まさにできるオトコのための一着です。細身の日本人に似合うシルエットや、後ろ姿をすっきり見せるようアクションプリーツを廃するなど、定番モデルでも時流に合わせてアップデートされています。
ライトグレーのスエードというだけでもエレガントに着こなせますが、今っぽいワイドテーパードのパンツと合わせたら、ワイルドウエスタンやイタリアンクラシックとはまた別次元の、ライダーススタイルが仕上りました。まるで上質なカシミヤのジャケットを羽織っているかのようなスタイリングは、もちろん気分までも一変してくれるはずです。
・サイレンス / ゴートスウェード Gジャン タイプ ブルゾン
・マンリコ カシミヤ / クルーネック ニット
・ピーティートリノ / BR別注 テクノ ウォッシャブル ウール 1プリーツ パンツ
・フラテッリジャコメッティ / スエード モンクストラップ モカスリッポン
こちらのジャケットは、いわゆる3rdタイプ。デニムだと少々ハードな印象ですがスエードになると、まるでコーデュロイのようにシックで落ち着いた秋冬の気配が漂います。ここでのインはカシミヤニット、ボトムズはグレースラックスにしてシンプル&ベーシックな装いとしましたが、じつはこのスタイリングは、一連の最新アイテムで構成されているんです。
カシミヤはストレッチ性を備えた特殊なニットで、まるでジャージーのような表情が上質なスエードと相性◎な話題のブランド。対してグレスラは、ウールベースのテクノファブリックで、シワに強くマシンウォッシャブル、もちろん2WAYストレッチというユーティリティな素材が使われている美脚な今風シルエットです。Gジャンをモダンに着るため、多彩なテクニックを駆使したコーディネートということが、よくわかるスタイリングですね。
・エンメティ / BR別注 スウェード ダブルライダース ブルゾン
・フェデリ / クルーネック ニット
・ベルナール ザンス / ストレッチ ウール 2インプリーツ パンツ
エンメティのダブルライダースにもゴートスウェードのモデルがあります。ちなみにこちらはシルバーパーツが付属したBR別注。エンメティのライダースが日本人体型にフィットするフォルムであることは言うまでもありません。とはいえ、一般的なダブルのライダースは、ライダースのなかでも重量感があって、ジップポケットやエポーレット、ウエストベルトなどのパーツが付くと、かなり主張が強くなってしまいます。しかし、それらのパーツをすべて削ぎ落としたのがこちら。エポーレットはもちろん、衿のスナップボタンやウエストベルトを外すことで、すっきりモダンなダブルに仕上げられています。
ダブルなのにミニマルデザインゆえシングル風にすっきり着こなせるのは、各部のバランス設計にもこだわりがあるがゆえ。細身のボディに合わせて肩はコンパクトに、スリーブも細めに設計されています。ボディサイドのシーム(縫製部)が曲線を描く様子は、グラマラスなボディラインを連想させて男の色気すら漂いますが、あえてシンプルなアイテムを合わせて艶っぽさを中和すると、理性的なできるオトコの着方に仕上がるはずです。
・モレック / ラムレザー パディング ブルゾン
・マンリコ カシミヤ / クルーネック ニット
・フェデリ / ショートスリーブ クルーネック Tシャツ
・ピーティートリノデニム / ストレッチ ブラック デニム パンツ (ROCK)
ここまでスエードのジャケットをご紹介してきたので、スムースはダメなの?と思われたら申し訳ないので、改めてスムースレザーの良物をご紹介しましょう。写真からも十分に伝わる光沢感は、ブラックなのに赤味が浮き上がり、ブラウンブラックのような艶が浮き上がっているのがおわかりいただけると思います。ここでのコーデは、全身黒。なのに素材が異なれば黒の発色もさまざまゆえ、レザー、カシミヤ、デニムのオールブラックスでもベタ黒にならず、 立体感あるコーディネートに着こなしています。
レザーの質感までは、写真からは伝わらないかもしれません。手にしてみれば一目瞭然なのですが、この革、鏡面のような光沢がありつつも手に吸い付くほどしっとり滑らかな肌ツヤをしています。レザー好きの間では知られている「革鳴き」という言葉があるのですが、手で握ったときに「キュキュッ」と“鳴く”音がする革こそが鞣しの良さを表すものです。モレックのレザーは、手にしたときに美しい“鳴き声”が響き渡ります。
「ブロンジェ」と呼ばれるこの革は、メゾン系ブランドの最高級レザーに比肩するもの。時間をかけてしっかりと鞣されているためコストがかかり、一般にはなかなか出回らないレベルの革なのですが、イタリアのファクトリーに精通する二人の日本人が、この革の供給を実現させました。
その2人とは、ジャブスアルキヴィオなどを手掛ける中新井淳平さんと、ラルディーニなど多くのイタリアブランドを日本に紹介してきた神藤光太郎さん。お二人がモレックのブランドディレクターを務めているからこそ実現した、他ではちょっと真似できないレベルと価格を実現しています。それに、こんなにすっきりシャープなシルエットなのに、薄く中綿を入れたパディングジャケットで高い保温性まであるなんて、着ている本人しかわからないでしょう。
・モレック / ラムレザー パディング ライダース ジャケット
・フェデリ / クルーネック ニット
・フェデリ / ショートスリーブ クルーネック Tシャツ
・イカイ / ストレッチ ブルー デニム パンツ
・フラテッリジャコメッティ / スエード モンクストラップ モカスリッポン
デザインはシンプル&ベーシック、なのでコーディネートに使いやすのは言うまでもなく。素材は最高級という、ラグジュアリーカジュアルの粋たるレザーは、さりげなく1枚着るだけで、着る人の佇まいと立ち居振る舞いが、がらりと変わります。
先程は衿羽付きのレザージャケットでしたが、スタンドカラーのシングルライダースタイプも、同じ「ブロンジェ」レザー。デニムと合わせてもハードなレザースタイルにならないのは、革質の良さが魅せるがゆえなのでしょう。ラムをベースにしているので、ハリがあるのにやわらかく、繊細なのに大胆な、なんともいえない魅力があり、確実にオトコが上がる逸品です。
撮影協力:mesm Tokyo,Autograph Collection
Producer : 大和一彦 / Styling & Direction : 四方章敬 / Photographer : 川田有二 (Riverta Inc.) / Hair&Make : Takuya Baba (Sept) / Writer : 池田保行 (ゼロヨン) / Designer : 中野慎一郎 / Model : Casey (Exiles)