
2019.09.19
スーツを着ると「なんだか、あまり変わり映えしないなぁ」と思うことありませんか。ついつい、いつも同じようなシャツとネクタイを合わせてしまっているからではないでしょうか。戸賀敬城の場合、ネイビーやグレーといったベーシックなスーツなのに、毎回新鮮な着こなしをされています。その秘密を伺いました。
▲ デ・ペトリロ / シャークスキン 3B スーツ
▲ アヴィーノ・ラボラトリオ・ナポレターノ / コットン&カシミア ワイドカラー シャツ
▲ フランコ バッシ / タイ
▲ カルロ リーバ / チーフ
スーツ姿がいつも同じに見えてしまうことは、スーツを着慣れた人ほどありがちなこと。タイやシャツを変えてみても、以前やったことあるスタイリングのような気がしてならない。結局、思い切ってスーツを新調する。という結論になってしまいがちです。
しかしながら戸賀さんがビシッときめたスーツ姿は、いつ見ても新鮮です。いったい何着スーツをお持ちなのか、会うたびに新しいスーツに見えるのです。
「仕事柄、人よりスーツは持っていますし、シーズン毎に新調もするのですが、同じスーツでも目新しく見せるワザを知っているのが僕の強みかもしれない。例えば今日のグレースーツには、白ではなくベージュのシャツを合わせているんです。グレーのスーツには、白やブルーをあわせることが多いと思うんですが、このぐらい淡いベージュだと新鮮なんですよ。」
たしかにグレーとベージュは相性のいい組み合わせですが、スーツとシャツで合わせるというのは意外でした。しかもこのシャツ、カシミヤ混の起毛感があるアヴィーノです。つるっと光沢あるブロードのドレスシャツよりも、マットな素材感が落ち着いて見えます。
「カシミヤが入っていないと出せないベージュカラーです。それともうひとつのポイントは、黒ベースのタイを合わせたこと。黒タイって、あまりビジネスでは使われないと思うんだけど、柄入りなら意外と使いやすいんです。それに黒はどんな色ともあわせられる無彩色なので、どんなアイテムでも合わせやすいのでおすすめです。」
確かに黒ベースのタイは、今期のトレンドとして注目されているところ。グレースーツとべージュのシャツ、どちらにも似合うしVゾーンが新鮮に映えますね。白シャツよりも柔和で、表情もなんだか和らいでみえて温厚そうな印象です。あ、いや普段から温厚な人柄ってことは存じていますが (笑)。
「じつはベージュシャツのVゾーンにすると、女性だけじゃなく初対面の男性からも、やけにウケがいいんです。白シャツだとフォーマルな印象があるのか、かえって気を使うみたいで。その点、ベージュシャツだとジャケパンぐらい気軽な装いに見えるのか、初めて会った人とも打ち解けられるし、距離を近く感じてもらえるみたい。これは、利用しない手はないですよね。」
▲ デ・ペトリロ / 10th イセタンメンズ トリプルネームスーツ
▲ アヴィーノ・ラボラトリオ・ナポレターノ / コットン&カシミア ワイドカラー シャツ
▲ フランコ バッシ / タイ
▲ カルロ リーバ / チーフ
「黒ベースのタイ×ベージュシャツのVゾーンは、グレースーツだけじゃなく、ネイビースーツにも似合う」という戸賀さんが、実際にコーディネートで証明してくれたのがこちらのスタイリング。いつもの戸賀さんらしいネイビースーツですが、新鮮に見えるところが戸賀さんのコーディネート上手な所以です。ストライプのタイ好きで知られる戸賀さんですが、ベースを黒にするだけで一気に新鮮さが増します。
ちなみにこちらのネイビースーツはデ・ペトリロの10周年を記念したアニバーサリーモデル。イセタンメンズとB.R.ONLINEのネームが入るトリプルネームモデルとして限定発売された希少なスーツです。一見ネイビー無地ですが、じつはヘリンボーンストライプ。光の加減でストライプが浮き上がります。昼間のビジネススーツとしてはモチロン、夜には室内の照明にも映えるエクスクルーシヴモデルです。
「今回、紹介したスーツとシャツはいつも愛用しているブランドですが、この2つをうまく繋ぐタイ選びこそが一番重要なんです。今日のタイはどちらも黒を使っていて、グレーとベージュ、ネイビーとベージュの間を取り持ってくれているんですが、どちらもフランコバッシのタイを選んでいます。バッシはイタリアンシルクの聖地、コモ湖の近くにある有名なメーカーで、コモはイタリア人の富裕層が別荘を構えるリゾート地。そんな街で生まれたネクタイだから、シルクの品質も極上で色柄も優雅でしょ。イタリアブランドならではの発色の美しさは、誰からも「いいネクタイしていますね」と言われるんです。」
たしかにこのタイ、スーツとシャツのコンビネーションをうまくつなぎながら、さりげなく主張もちゃんとあります。「ネクタイは、その人より先に部屋に入ってくる」と言われるように、最初に目が行きますね。黒を使っているところもモダンな印象です。
「BRではブラックを取り入れたコーディネート提案を随分と前から続けていて、いつも感心してました。今年は、トレンドカラーとしてブラックが取り上げられているし、ネクタイから取り入れてみようかなと。黒タイは、モードっぽいかなと思っていたけれど、ネイビーやブラウンと合わせるコーデはフレンチシックによくあるテクニックだって事を思い出しました。今年はフレンチテイストもキーワードのひとつだから、黒を使うのはあながち間違っていない。むしろちゃんとトレンドを押さえてるってことになるのでは。」
ダッドスニーカーやロゴもの、ビッグシルエットなど、様々なトレンドがありますが、あからさまに取り入れるのは大人のスタイルには少々痛いもの。戸賀さんのように、流行り物を着るよりもクラシックなスタイルにさりげなくとりいれるほうが、大人のおしゃれとして効果もありそうです。