2017.11.07
サルトリア・ナポレターノ特有の色気を醸すジャケット&スーツで人気のデ ペトリロ。オーナーでありデザイナーでもあるベネディット・デ・ペトリロ氏が手がけるモダンクラシコは、B.R.ONLINEではすっかりお馴染みです。毎シーズン、トレンド発信力のあるコレクションはスーツ&ジャケットにとどまりません。秋冬はコートも充実しているんです。そこで今回はデ ペトリロのコートをご紹介してみたいと思います。
かなりのインパクトを見せるのはカシミヤ100のダブルチェスター。モデル名は「ピニャテッリ」です。毛足のあるビーバー風のフィニッシングにラグジュアリーな気分が漂います。6ボタンダブルの貫禄を軽やかに着流せるフォルムはナポリならでは。シルエットは細身ですが、ほんのり曲線を描くピークドラペルがデ ペトリロらしい洗練されたイメージで、フラップレスのポケットもドレッシーな印象を際立てます。後ろへ回るとマルチンガーラと呼ばれるバックベルトが付いています。あくまで装飾的なディテールですが、これがあることで脚長効果を発揮して、後ろからみたコート姿もじつにスタイリッシュです。
こちらはジャケットの上から羽織るコートスタイルですが、合わせたクルーネックのニットもスラックスも黒、さらに足元にも黒靴を合わせています。そうなんです、黒を合わせることでブラウンのクラシック味をモダンに着こなしているわけです。これ、今季トレンドカラーのブラウンを着る際に覚えておくと、きっと役に立ちますよ。
今季、巷で大流行中のグレンチェックのコートです。英国の老舗ミル、マーリン&エヴァンスの素材を使っているので、打ち込みがよく生地はハリとコシが強く、ブリティッシュな気分を醸します。英国出自のグレンチェックですが、この独特の織り感が最大の魅力なんです。それをデ ペトリロはじつに巧みにソフトフィッティングに仕上げています。
柄モノのコートはビジネススタイルには使いにくいと思われがちですが、グレンチェックなら心配無用です。特に無地のスーツのときなど、無地より柄のコートのほうがスーツ姿にメリハリがつくのでエレガントな存在感も引き立ちます。それにグレンチェックの深いグレーのトーン・オン・トーンは、無地のスリーピースに合わせてグレーのワントーンで着るととてもモダンに映るんです。金融系や政府機関など、お堅い業種でもこれならOKですよね。
こちらのキャメルのコート、素材はロロ ピアーナ社のものを使っています。滑らかな光沢がある上品なキャメルカラーは、ネイビーやグレーのスーツと合わせるとリッチでモダンな印象が引き立つ色です。そのうえタッチもカシミヤを彷彿とさせる滑らかさ。それもそのはず、ベビー キャメルを使っているんです。空気を含んだ素材は見た目にはもちろん、着てみると軽さと温かさが別格とお分かりいただけることでしょう。こちらのモデルはシングルブレストにマルチンガーラを取り付けた、上掲のグレンチェックコートと同じ「フィロマリーノ」。後ろから見たときの脚長バランスはじつにバックシャンです。
今度はスタンドカラーのニットを合わせてカジュアルな印象に、「フィロマリーノ」モデルのコートを羽織ってみました。コート素材は大柄のヘリンボーンストライプ。この季節、ツイードによく見られる織りですが、その実カシミヤ100%という贅沢なものです。ツイードならガリガリでゴリゴリの硬い素材だったことでしょう。でもカシ100なら、確実にソフトなタッチと軽い着心地に加えて上品な見え方になりますので、アウター代わりに着てもエレガントですね。
シルエットの美しさはシャープなラインと細身のスリーブ、そして無理なく流れる肩傾斜の賜物です。じつは今季のデ ペトリロは、この数字の配分バランスを見直すことで、最旬のシルエットを完成させています。着丈は昨シーズンより、少し長め、単に長くしただけでなく、ウェストシェイプ位置も変更するとともにバックベルトの位置も変更してバランスを整えることで最旬を意識させるものになっています。素材も多彩なので同じモデルでも印象を変えながら、流行に左右されにくい色柄を揃えているところもナポリらしいところ。毎シーズン、最旬のコートを着るなら、デ ペトリロは間違いの無い選択肢のひとつといえそうです。