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ファッション・デザイナー / HAN AHN SOON何かを作り、人に渡す喜び。
その思いが、今も続いている。

2016.09.23

個性的な色彩美、レースにシルク、ファンシーなツィードなどフェミニンな素材をミックスしながらも、上品で女性らしいスタイルのワンピースドレスを中心にて展開しているレディースブランンド「HAN AHN SOON(ハン アンスン)」。その創設者でもあり、デザイナーのハン アンスンさんをショールームにお尋ねして、ご自身のキャリア、今後のご予定についてお話をお伺いしました。

ファッション・デザイナー

HAN AHN SOONさん

1998年大阪のギャラリーにてHAN AHN SOONデビューコレクション発表。色鮮やかな韓国民族衣装のアンティーク生地と、最新モードを融合させたデザインは多くのメディアやスタイリストから注目を浴びた。2002年 大阪コレクション参加。その後、東京コレクションへ作品発表の場を移す。多くの女優、タレント、海外セレブがメディアにて着用し、一躍ブランド知名度が広がる。2014年 株式会社「8・DESIGN」設立。2015年 NYファッションウィーク公式の「TOKYO RUNWAY meets NEW YORK」参加。

http://www.hanahnsoon.com/



ものづくりの喜び、海外への熱意

--- 小さい頃は、どんな子供でしたか?

大阪で生まれて育ったのですが、親の関係で東京には良く行っていた記憶があります。

勉強は、“しなかった?”“できなかった?”そんな感じで、、、。モノを作ることが好きで、PTAの手芸教室に、ひとり子供が混ざって、習い事をしてたりしてました。

そのうち授業中も手芸の作業をするようになり、先生も周りの子も諦めてくれたのか、ほぼ公認でハリと糸で何か作ってましたね。その作ったものを、周りの子が喜んで貰ってくれたのが嬉しくて、どんどんのめり込んでいきました。

--- 服飾、デザイナーの世界にはどのような経緯で?

10代の後半の時、親から「手に職でもつければ!」と勧められて服飾の専門学校に通うようになりました。その学校を途中で辞めて海外留学がしたかったのですが、親に「卒業したら、援助してあげる」と説得にあい、学校はちゃんと卒業しました。そうしたら、援助してくれるどころか、「留学なんて、自分の稼いだお金で行くものだ」と態度が急変して、途方に暮れましたね。(笑)

学校時代のバイト先の、高級品をお金持ちのマダムに販売するサロン的なお店のお客様の一人が、チョゴリ屋さんを紹介してくれたんですが、その人が存在感のある、個性的な配色のアンティーク系の生地をくれたんです。周りの人からも「せっかく貰ったんやから、なんか作ったら!」と言われて、その生地でスカートなどを作り始めました。

それを着て学校に行ったら、「なにそれ!おもろいな。売って!」と話題になって、、、。で、「これを売ったら、留学いけるかも!」って思いついたんですよ。それから、ギャラリースペースの人に出会い、試作品をすごい勢いで作り、見て貰ったら気に入っていただけて、正式にそのスペースで展示販売会をさせて貰えることになったんです。

基本、自分の手作りで、1点ものなので、少しでも高く販売するために色んなことを考えましたね。たまたま、女性ボーカリストをテレビで見かけたら、何か「この人に着てもらいたい!」と閃いて、東京まで作品持って出かけて、担当の大御所のスタイリストさんにプレゼンをしたら、とても気に入っていただけて。で、販売前からメディアで露出する状態になり、実際の販売も好調で。同じようなことを繰り返していたら、「大阪に変な子がいる!」って話題になっていったんですよ。(笑)

--- かなり面白いキャリアですね。そこから、プロの世界に?

そうしたら、大阪コレクションの協会の人から誘いがあり、参加させていただいたら、それがまたメディアに取り上げられて。そして、あるアパレル会社の社長さんから声をかけていただいて、まずは契約デザイナーになりました。

社会経験がほとんどなくて、会社員としては役に立たなかったのか、すぐにヘルプ的な業務から解放され、自分のブランド「HAN AHN SOON」が立ち上がったのですが、少し個性が強すぎたのか、最初は売れなかったんですよ。

悔しくて、店頭に行って販売員さんに話を聞いたりして、少し落ち着いた配色も増やしたりしていったら、急に売れるようになって。そうしたら、会社での待遇も良くなって、パリ、NY、、、海外出張も連れて行っていただけるようになったんですよ。留学はできなかったけど、違う形で海外で過ごすという夢が叶った、そんな気分でした。

その後、大阪の堀江でオンリーショップを開店し、百貨店展開も始まり、東京での販路も広がっていきました。ただ、ビジネスの拡大に伴って、当時契約していた会社との方向性の違いが大きくなっていき、子供も生まれたこともあり、1年間の休職と言う形をとり、話し合いの末に、その会社との契約は終了しました。

その後、新たな会社が声をかけてくれて、契約をして活動を再開しました。そこでは、会社の方針もあり高級志向に舵を切り、いい生産の環境と大きな発表の場を用意していただけました。東京コレクションの自分のステージの写真が、WWDのUS版の表紙に使われたりとか、ビヨンセ、レディー・ガガのような、海外のセレブに作品を着ていただいたりとか。また、日本でも女優の方々に愛用いただけたり。いわゆる富裕層の方々からの引き合いも増えていきましたね。



独立という自由

--- それから、自分の会社を設立されたんですよね?

独立してもう直ぐ3年です。大きなバックグラウンドを持っていないので、マーケットニーズ、採算面によりシビアにならなくてはならないという意味で、制約が増えた部分はありますが、やったらやった分だけという、自由さというか、手応えというものは、より強く感じるようになりました。

最初は、何から何まで自分でコントロールしなくてはならず、時間がいくらあっても足らないような状況でしたが、生産面も販売面も外部の協力体制が整ってきて、少しずつブランドとして、良い方向に向かっています。

去年は、ニューヨークコレクションにも招待していただいて、海外のお話も積極的に取り組ませていただきましたが、今年は、国内に比重を置いていきたいと考えています。販売という意味では、「半歩先のクリエイティブ」を心がけていますが、その制約を外した、コレクションピースも少しずつ手がけていきたい気分です。

--- ハンさんの人気作品には、キャラクターを用いたものがありますね?

タツノコプロさんとは、「マッハゴーゴー」のレースチームのコスチューム制作のプロジェクトからお付き合いが始まり、「ガッチャマン」、「あくびちゃん」などのキャラクターアイテムを展開させていただきました。

当時、アニメのキャラクターを洋服にするのは、子供向けのアイテム中心だったこともあり、本格的なレディースファッションに用いたことで話題になりましたね。

また、子供ができてからキデイランドなどを尋ねることが増え、その時目に入ったキティちゃんを、ふと大人のファッションの中のモチーフにできないかと思いつき、いくつかを形にしました。キティーちゃんとのコラボアイテムも、多くの反響をいただいて、アーティストのレディー・ガガさんに、ご自身のSNSでご愛用いただいている姿をご紹介いただけたりしました。

--- クリエイションをする上で意識していらっしゃることは?

若い頃は、引き出しを増やすことに意識的だったような気がします。映画や本や美術鑑賞や、、、。今でも、スクラップブックのような資料を作る時間は大好きで、時間や言葉を忘れて熱中してますね。

その資料や、生地のメーカーでサンプルをいっぱい見ていると、そこから、パズルのように、何かがカチってハマる瞬間があって、アイデアはいくつも生まれてきます。

ただ、それを具体的な作品や、バリエーションに落とし込んでいく部分については、かなり大変な思いで行っていますね。



人との出会いが与えてくれたもの

--- ハンさんは交友関係も広く、人のつながりに恵まれていらっしゃるような印象を受けますが、何かエピソードはありますか?

初めて東京コレクションに参加させていただける時に、演出のスタッフさんからスタイリストをお願いした方がいいよと言われて、情報を集めていたら、一枚の写真に引き寄せられました。

その写真のスタイリングをしている方にお願いしたいと伝えたら、その人はメンズの大御所で、とても無理だと言われたのですが、諦め切れずにご本人にお手紙を書いたら、ご本人からご連絡をいただき、直接ご説明する機会を作っていただけて、その思いが伝わったのか、お手伝いをいただけることになったりしましたね。

その人は、その後も応援をしていただけて、ことあるごとにハイブランドのパーティーや、ファッションクリエイターや、出版関係の集まりなどに誘っていただいたりして。大阪に住んでいた頃には考えられない、多くの出会いの場をいただけました。

その時に出会った方が、また別の方を紹介してくださったりして、、、。今思うと、その出会いの繰り返しから、色々なものが生み出されて、今の自分を形作っているような気がします。

CREDIT
Interview & Photo : SUMIYA TAKAHISA

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