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FEATURE

SPECIAL INTERVIEW THE ROOTAGE Vol.18

2018.06.21

人気ブランドのキーマンから話しを聞くB.R.ONLINEのスペシャルインタビュー。それぞれのブランドの根源にあるもの、クリエイションへの思い、発想の原点に迫ります。

ドメニコ・ジャンフラーテ

PT ディレクター

ドメニコ・ジャンフラーテさん

1971年、イタリア南部の街プーリア州ターラント生まれ。12歳から地元のサッカーチームで活躍し、当時セリエAに昇格していたUSクレモネーゼに所属。22歳で引退すると、ファッションの道へ。独立しショールームを開き、南イタリア有数のエージェントに成長を遂げました。ファッションブロガーの草分け的存在であるスコットシューマンに撮影されたことから名が知られるようになり、毎シーズンのピッティ ウォモではファッションスナップの常連。国内外のファッションメディアに取り上げられること多数。2016年、PT01、PT05のディレクターに招聘されました。


今、イタリアではお洒落な人ほどデニムを選んでいます

B.R.ONLINE編集部 (以下 編集部)ドメニコさんはファッショニスタとして有名ですが、日本人のお洒落をどのように思っていますか?

ドメニコ・ジャンフラーテ (以下 ドメニコ)日本人はファッション業界の人じゃなくても、どんどん新しいアイテムを取り入れて、実験的にコーディネートしたりしますよね。こういう感覚は、ほかの国の人にはあまり見られません。海外はもっと保守的で、ファッションに対して先進的な人はそう多くはありません。それにディテールへのマニアックなこだわり、そして知識もほかの国より突出しています。そういうところは、作り手からするととても嬉しく思います。

編集部それは興味深いですね。日本のファッションは先に進んでいるということでしょうか?

ドメニコ世界中からピッティウォモにやってくる人々は、ファッション業界の人たちばかりなので、当然ながら皆さんお洒落の感度が高いけれど、日本では普通の街なかにお洒落感度の非常に高い人がいて、みな自分らしく着こなしている。こういう国は、ほかにありません。

編集部日本では近年、デニムを履く人が減ってるように思います。

ドメニコイタリアではいま、お洒落に関心のある人ほどデニムを選ぶ傾向にあります。誰もが同じスタイルでは面白くないので、敏感な人ほど少数派のデニムに鞍替えしているんです。

編集部なるほど。お洒落な人ほど、みんなと同じスタイルは敬遠しますよね。

ドメニコイタリアでアメリカのオーセンティックなデニムを作ろうとしても、簡単に作れるものではありません。そういったデニムは他所に任せて、私達はコンテンポラリーなデニムを提案しています。PT01のデニムラインであるPT05では、いままでトラウザーズをあわせていたスタイルに置き換えても違和感のないデニムをリリースしているんです。

編集部それはつまり、どういったコーディネートが似合うデニムですか?

ドメニコたとえば白いドレスシャツ、ダブルのネイビーブレザーなど、洗練されたアイテムが似合います。自分が洗練された装いでいたいと思うコーディネートに合わせてほしいですね。トラウザーズを履くと、心持ちがきちんとしますよね。PT05は、そういう意識をもって着こなしてほしいデニムなのです。


クラシックの進化と新時代のデニム

編集部クラシックな服が好きな世代の日本人は、アメカジの洗礼を受けてる人が多いので、アメリカのデニムブランドや、ヴィンテージデニムが好きな人が多いんです。

ドメニコ個人的にはスウェットパーカを羽織る、アメリカンなデニムカジュアルも好きですが、スウェットパーカに合わせるデニムと、ジャケットに合わせられるデニムは別物です。かつてサンローランは「デニムはセクシーでエレガントだ」と言いました。私もその意見には賛成です。デニムはもっと上品に着ることができるものです。そのためにもソフィスティケートされた良質なデニムが必要です。

編集部デニムは若い人たちのものと思われている部分もあると思います。私たちがもっと自由にデニムをはいて、大人のエレガンスを表現していかないといけないですね。

ドメニコPT05にはクリースが入っていますので、裾もターンナップしてトラウザーズのようにはくことをおすすめしています。スウェットをあわせるのではなく、ジャケットに合わせて、今までと同じように合わせられるんです。

編集部普段、PT01を愛用している人が、そのままデニムにはき替えることができるんですね。

ドメニコPT01はクラシックをベースにしたパンツブランドと思われているかもしれませんが、昔ながらのクラシックにしがみついているわけではありません。クラシックを着慣れた人たちに向けた新時代のデニムを提案しているんです。同時に若い人たちにも受け入れられるデニムでありたいとも思っています。

編集部B.R.ONLINEは、クラシックをベースにしながら、従来のクラシック然としたスタイルではなく、カジュアルやモードの要素を上品に取り入れることで、よりモダンでコンテンポラリーな着こなしを提案しているメディアです。

ドメニコそれこそ、次の世代のクラシック。私たちが目指しているのと同じです。


PT01に新たな息吹をもたらした「ジェントルマンズフィット」

編集部ディレクターに就任する前、PT01はどういうブランドだと思っていらっしゃったのですか? そして就任後、どのように変えていかれたのでしょう?

ドメニコ自分のショールームでは10年ほど前から取り扱っていました。とてもクオリティの高い、クラシックパンツ界のリーダー的存在だと思っていました。でも数年前からコレクションがちょっと停滞しているように感じられていたのも事実です。2年前、ディレクター就任の要請を受けたのは、社内でもそんな危機感を感じていたからでしょう。このブランドをどのように導いていくべきかと言う話しになったときに、私はこれまで多くの人が抱いていたブランドのイメージを変えたいとはっきり言いました。もっとコンテンポラリーな方向に変えていかなくてはならないと言ったんです。

編集部日本でも、クラシックの安心感とモードの洗練感を同時に有しているブランドやアイテムのニーズが高まっています。PT01は、まさにそういう方向に向かっています。

ドメニコ毎回、問題意識を解決することでコレクションを展開しています。毎シーズン、シルエットやフィッティングに新しいものを提案しているんです。私がプロデュースしたジェントルマンズフィットは、「クラシックでコンテンポラリー」というテーマを形にしたもの。

編集部ジャケットにはもちろん、スニーカーも合わせられるジェントルマンズフィットは、はいてみれば絶妙なバランスで計算されてることがよくわかります。ちなみにドメニコさんはどういう着方をされていますか?

ドメニコ私はジャケットスタイルのこともありますが、Tシャツにスニーカーをあわせることも多いです。どんな着方でも、しっかりエレガントに見えますので。


「ファッション以外、なにもできない男」という想い

編集部いつ頃からファッションに興味を持つようになったのですか?

ドメニコ幼い頃から、服が好きでした。母親がサルトだったこともあり、10歳ぐらいから服を作ってもらっていました。サッカー選手を引退して、少しモデル業をやって、ファッションエージェントで働くようになったので、それから本格的にファッションに情熱を注いでいます。

編集部イタリアではショールームを経営されていました。

ドメニコエージェントを1年で独立して、地元に帰り南イタリアを中心とするディストリビューターを始めました。ナポリやシチリアにもオフィスを開いて、南イタリアでは主要なショールームとなっています。同時に数社のブランドコンサルティングをしていたので、2年前にPT01に声をかけていただきました。いま、ショールームは兄弟にまかせて、私はミラノに移住して、PT01のディレクターに専念しています。

編集部二足のわらじ、ではなく?

ドメニコ私は「自分はファッション以外、なにもできない男だ」という想いを抱いて仕事に取り組んでいます。ファッションにすべての情熱と努力を捧げることで、初めて結果が得られるのだと思っているのです。若い人たちにも同じことを言っています。すべてを捧げたいというものを、ひとつだけ見つけて、そこに向かって努力をしなさい、と。

編集部熱血ですね。

ドメニコ僕がいまこうしていられるのは、仕事のおかげです。少しのラッキーはあるかもしれませんが、どれだけそこに力を注いだかが、そのまま結果につながります。PT01にディレクターに就任する決めた時、自分の会社が犠牲になると思いましたが、私の背中を見てきた部下たちは快く送り出してくれました。彼らは私の考え方を引き継いでくれているので、いまもオフィスはちゃんと運営されています。

編集部ファッションスナップの常連で、クールでお洒落好きイタリア男と思っていたのですが、中身は熱い方なんですね。

ドメニコ簡単にできることはひとつもありません。努力は絶対にしなくてはなりません。PT01のディレクターは絶対に大変な仕事だとわかっていましたので、最大限の努力をしなければなりませんでした。だからこそ結果を出せている。ショールームとの二足のわらじでは、この結果は得られていないでしょう。これは私がサッカー選手を辞めてしまったときから、つねに心に抱き続けている想いなのです。



Photographer : 野口貴司 (San Drago) / Writer : 池田保行 (ゼロヨン)


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