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FEATURE

SPECIAL INTERVIEW THE ROOTAGE Vol.15

2017.01.10

Writer : 池田保行(ゼロヨン) / Photographer : 岡田ナツ子

海外ブランドの責任者から、直接お話をうかがうB.R.ONLINEのスペシャルインタビュー『THE ROOTAGE』。

「ナポリは毎日、生きている」。デ・ペトリロのオーナー、ベネデット・デ・ペトリロさんは、そう言いました。人々の暮らしと同じように、海の青も木々の緑も、太陽の黄色もトマトの赤も、街も空気も、毎日が同じではなく少しずつ違っています。そんな日常のすべてを吸収しているからこそ、ナポリ人の感性は鋭く、決して衰えないのだとも。歴史上、何度も異国の占領下に置かれてきたナポリという街に暮らす人々ならではの文化背景と、独特の色彩感覚が生んだ“ナポリ流”のモノづくりとコーディネートの極意を、教えてもらいました。

ベネディット・デ・ペトリロ

デ・ペトリロ オーナー

ベネディット・デ・ペトリロさん

1959年ナポリ生まれ。1980年代初め、義父の経営する縫製工場で経験を積み、1987年、アパレルメーカーを設立。90年代には、アントニオ・ラ・ピニョッラ(元キートンのモデリスト、アントニオ・ピニョッラ氏が手がけたクラシックブランド)に取り組み、サルトの技術や表現を学ぶ。2009 年、デザインから生産、販売までを一貫するデ・ヴィ・インダストリア社をナポリ郊外の町、フラッタマッジョーレに創立。自身の名を冠したデ・ペトリロをスタートさせた。

ベネディット・デ・ペトリロ

デ・ペトリロ マネージャー

ファブリッツィオ・デ・ペトリロさん

1987年、ナポリ生まれ。イタリアンクラシックの系譜を受け継ぐ父の会社で管理部門、営業部門を統括。ブランドの鮮度を保つため、若い視点からのクラシック服を提言するという、コレクションの重要な役割を担っている。


B.R.ONLINE編集部(以下 編集部)親子でインタビューさせていただくのは、これが2回目ですね。今日はデ・ペトリロの今シーズンのコレクションについて伺うだけでなく、実際にコーディネートをご紹介していただけるとあって楽しみにしてきました。

ベネデット(以下 ベニー)私も今日は2回目なのでリラックスしてお話しできます。息子のファブリッツィオも、今日はクラシックなスーツ姿ですが、気楽にしていますよ。

編集部先ほど「ナポリは毎日、生きている」とおっしゃいました。それがナポリ人であるベニーさんのコレクション制作に大きな影響を及ぼしているとお考えですか?

ベニーすべてのナポリ人がそうだとは言いませんが、自分を含めて多くのナポリ人は天気が良ければ太陽の光や海の色を美しいと感じるし、やさしい風が吹けば心地よいと感じます。人々がおしゃべりに興じていれば楽しそうだと思うし、食事をすれば美味しいと感じる。どれも自然なことですが、どれも心を動かされることです。

編集部日常のすべてを意識的にしているんですね。

ベニー無理をしているわけではありません。日常のすべてに感謝して生活しているだけです。なにも感じない、なににも動じないのでは、心は動きません。すべてに感動があるからこそ、毎日成長できる。毎日、街の色が、海や山の色が変わるからこそ、印象も変わります。モノづくりのヒントになることは、日常にたくさんあるのですから。

編集部たしかに私たちは慌ただしい日常に忙殺されていたり、疲れていてあまり周りを意識していないのかもしれません。日本の職人はコストだの納期だのに追い立てられている部分があるので、創造的な活動ができずらい環境にあるとも言えますね。だから技術はあるけれど、それがファッションにならないのでしょう。

ベニー日本人はとても細かいところまで注意していますし。とてもたくさんのことを質問します。それは私たちのつくるものに興味があるからだと思います。他の国とも取引をしていますが、特に質問もないので、私たちの製品に興味を持っているように感じられませんし。

編集部細かいことを質問したり、こちらからの提案にも応えてくれるのは、ナポリのモノづくりにそれだけの引き出しがあるからですよ。

ベニーナポリ人は昔から多くの人種が出入りしていました。単に古いだけでなく、多国籍な文化がミックスされている街です。そんな歴史を振り返ったり、そこから何か引っ張り出してくることがナポリ人は大好きなんです。だからこそシーズンテーマや、コレクションのアイデアが尽きることがないのです。

編集部では、今季のテーマについて教えていただけますか。

ファブリッツィオそれについては私から。今季は3つのテーマを掲げています。ひとつは白から黒へ、グレーのグラデーショントーンです。少しベージュがかった色合いなのが特徴です。

編集部たしかにグレー系の配色が多いようですね。

ファブリッツィオ完全なグレーではなく、メランジ調でグレーに見えるものもあります。

編集部グレートーンの表現も多彩ですね。

ファブリッツィオ2つ目はナチュラルトーンです。世の中に完全なる原色がないように、赤よりサーモンピンク、青より少しグリーンがかったブルーなどです。

編集部ビビッドなピンクはさすがに着れませんが、サーモンピンクなら着られそうに思います。

ファブリッツィオ3つ目は100%ピュア素材ではなく混紡素材です。

編集部ウール100%やリネン100%ではなく?

ファブリッツィオウールにはシルクやリネンを、リネンも数種類の麻素材をミックスします。混紡することで、生地の風合いがリッチになるんです。

編集部単純に高価な素材ではなく、見た目も手触りもリッチな風合いということですね。

ベニー私たちは生地を選ぶとき、着たときに良質な生地だと感じられるものを選びます。それは単に値段が高価だからではありません。安価でも、とても良い生地はたくさんあります。

編集部だからデ・ペトリロは、とても買いやすい価格帯なのですね。では、実際にコーディネートを見せていただきましょう。


ベニー今日はスタンダードなナポリ流のコーディネートと、デ・ペトリロ流のナポリスタイルをご覧いただきます。

ベニーシアサッカーのジャケットはスポーティに着こなしたいので、シャツもスポーティなものを選びます。

編集部そこでオックスフォードのボタンダウンシャツというわけですね。

ベニータイは無地のものなら間違いがないので、サテンとガルザの織りでストライプを表現したネイビータイを合わせてみましょう。


ベニーデ・ペトリロ流なら、もうちょっと遊び心を表現したいので、こんなペイズリー柄のタイをあわせます。ベージュのベースにブルーのウールにプリント柄なので、シアサッカーのベージュのストライプとも、シャツのブルーともしっくりくるんです。

編集部ボタンダウンカラーのボタンを外しているのは、ジャンニ・アニエッリ流の小技ですか?

ベニー個人的にも好きな着方です。堅苦しい印象が薄まりますから。ポケットチーフのコントラストも効いているでしょう。男性にとってのポケットチーフは、女性にとってピアスのようなもの。ナポリでは、こういうイカしたチーフをしている男のことを「GaGa(※プレイボーイの意)」と呼ぶんです。ポケットチーフは、女性の涙を拭くためのものですからね(笑)。


ベニージャケットは白黒のメランジカラーですが、遠目にはライトグレーの無地。エレガンテにもスポーティにも着こなせる便利な一着です。

編集部シャツはデニムでしょうか。

ベニーシャンブレーでもいいと思います。同系色ということでネイビーの千鳥格子柄のタイを合わせてみましょう。シャツと同系色のタイを合わせると、Vゾーンがシックにまとまるんです。

編集部たいていの男性はシンプルな合わせ方を好みますからね。


ベニークラシックをベースに若々しいエレメントを加えるのがデ・ペトリロ流です。たとえばこんな白×紺のレジメンタルタイを合わせてみましょう。白縞がリネン調の織りになっているので、ジャケットの素材感と似合います。

編集部レジメンタルはクラシック、デニムは若々しさの象徴ということですね。

ベニーちなみにポケットチーフのプリントも地の部分がデニム調の織り柄になっているんですよ。


編集部ベージュのリネン混素材のダブルブレストです。

ベニーベージュリネンは、いつでもクラシックでエレガントなイメージを演出してくれます。よく見るとベージュにブロンズが入ってすので、シャツは強めのストライプが似合います。

編集部確かに、シャツが淡色だとぼやけてしまうでしょうね。


ベニーさきほど「ブロンズ」と言いましたが、このジャケットは光の反射で少しグリーンが浮かぶんです。そこでタイにグリーンのストライプをもってきました。

編集部グリーンと言っても、カーキに近いですかね。

ベニージャケットと近いトーンです。ポケットチーフの色もちょっと強めの茶系とブルー。ジャケットやシャツより、ちょっと強めの色を挿すのがポイントです。


ベニーこちらはリネン混ですが、少しムラ感のある素材です。

編集部シャツはドビー織りの白シャツですね。

ベニータイはグレーのジャケットに相性のよい、ネイビーを、ストライプにしてみましょう。白縞の部分がバーズアイになっていてトーンを落としていますので、ジャケットとの相性が良くなりました。


編集部これで十分洒落て見えるのはジャケットの素材感の賜物ですね。

ベニーこちらはグレーの小紋タイを合わせてみました。

編集部色を使わず、シックにまとめていますね。

ベニーフォーマルな席でも似合います。色数を抑えて黒のポロシャツを合わせても、スポーティなカジュアルスーツとしても着こなせますしね。ちなみに、こちらのスーツは、パンツにワンタックが入っています。


編集部ダブルのジャケットは、ブルーに光沢がありますね。

ベニーイタリア製のキッドモヘアを使っています。すごく軽くて快適です。私が一番好きな「ペトリロブルー」です。このブルーは白シャツに限ります。

編集部ブルーの無地タイを合わせるのは王道のナポリスタイルですね。


編集部ここであえてVゾーンに茶色を入れるのがデ・ペトリロ流ですね。

ベニー日本の男性は、あまり茶色を好まないようですが、ブルーベースの着こなしのときに、ほんの少し取り入れると色気が増すというか、華やかさが加わります。定番色のブルーに足すなら、赤や黄色よりもずっと使いやすいはずです。

編集部ポケットチーフも茶を使っています。


編集部ジャケットはリネン×シルク×コットンの三者混生地で、太縞のウィンドーペーン柄ですが、それほど派手な印象はありませんね。

ベニー明るいブルーのシャツに無地のニットタイで、ジャケットの柄を活かしたコーディネートがよさそうです。ナポリ人なら、こう着こなすでしょうね。


編集部デ・ペトリロ流はペイズリーのタイですか。

ベニー柄と柄を組み合わせるのがおすすめです。柄を2つ以上使うときは、できるだけ違う印象のものを組み合わせることが重要です。


編集部グレーに茶色のストライプの入った、ウール×リネンのスーツは、ちょっと若々しいイメージがありますね。

ベニーシャツはオックスフォードをあわせました。タイはシャツに合わせてブルーでも、ストライプの縞色に合わせてブラウンでもいいと思いますが、こんな2色ストライプのタイなら申し分ありませんね。


ベニーデ・ペトリロとしては、こちらもおすすめです。

編集部タイの地色と縞色がスーツの地色と縞色とあっていて、まるで誂えたかのような組み合わせになっていますね。

ベニーデニムシャツの存在感も引き立ちますし。スーツ、シャツ、タイで安定しているので、ポケットチーフは柄ものではなく、無地の白リネンを合わせたほうがいいですね。


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