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Intersect With Styles 谷川じゅんじのスタイル邂逅 Vol.7

2015.03.06

Intersect With Styles 谷川じゅんじのスタイル邂逅 Vol.7 アートディレクター 伊籐弘

Editer: 大野重和(lefthands) / Writer: 清水 清(lefthands) / Photographer: 鈴木泰之

「都市とつながり、人と人、人とクルマが交わる」をテーマとするライフスタイル提案空間〈INTERSECT BY LEXUS〉。そこを舞台に、毎回さまざまな分野のトップランナーたちが、スタイルの未来を標榜する。ホスト役は、スペースコンポーザーの谷川じゅんじ 氏。第7回目は、アートディレクターでデザインスタジオ『groovisions』代表の伊籐弘さんをお迎えしました。

アートディレクター デザインスタジオ groovisions代表

伊籐弘さん

1993年京都で活動を開始し、97年東京に拠点を移動したデザインスタジオ、グル―ヴィジョンズ代表。グラフィックやムービを中心に音楽、出版、プロダクト、インテリア、ファッション、ウェブなど活躍の領域はひろく、ピチカート・ファイブ、RIP SLYMEなどのミュージシャン、インテリアデザイナー・片山正通さんや、美術家・村上隆さんらともコラボしている。また、ファッション界や雑誌・広告界での仕事も多く、100%ChocolateCafe.をはじめとする、さまざまなブランドのVI、CI、雑誌『Metro min』などのアートディレクションやエディトリアルデザイン、メゾンエルメスのウィンドウディスプレイのディレクション、『ノースフェイス展』など展覧会でのアートディレクション、EXPO 2005 AICHI JAPAN 愛・地球博や農林水産省の映像資料でのモーショングラフィック制作などがあげられる。人気キャラクター「chappie」(チャッピー)の生みの親でもある。

スペースコンポーザー

谷川じゅんじさん

1965年生まれ。JTQ株式会社を2002年に設立。「空間をメディアにしたメッセージの伝達」をテーマにクリエイティブディレクション&コンサルティングファームとして活動の場を広げる。空間という特定の枠を超え、コミュニケーション領域全般でのブランディングディベロップメントおよびブランディングプロモーションを手がける。主な仕事にパリルーブル宮装飾美術館 Kansei展(2009)、平城遷都1300年祭記念薬師寺ひかり絵巻(2010)、グッドデザインエキシビジョン (2007-12)などがある。D&AD入選、DDA 大賞受賞、優秀賞受賞、奨励賞受賞、他入賞多数。

クリエイティブには密度が重要。

谷川伊藤さんとお話をするようになってから、まだそれほど経っていないですよね。2014年3月にアマナのコンセプトストアが六本木のアクシスビルにオープンして、そのレセプションパーティで初めてお会いしました。

伊藤それ以前も谷川さんとは結構同じ場所にいることが多くて、もちろん、お名前など存じ上げていましたが、「いつかお話するタイミングもあるでしょう」くらいの感覚でいました。

谷川あのときは初めてだったけど、気楽にお話できました。伊藤さんは構えなくていい人だったから。それ以来のお付き合いですね。 伊藤さんは、この場所(INTERSECT BY LEXUS)は初めてですよね。レクサスは2014年で誕生から25年を迎えたけど、2009年に豊田章男さんが社長に就任した際、レクサスというラグジュアリーブランドを育てる方針を打ち出して、方向性を模索したとき、メーカーからブランドにシフトチェンジするなら、それを分かり易く体現するために、場所を持つというアイディアが生まれて、INTERSECT BY LEXUSが誕生した。海外に増やす計画も着々と進行中です。

伊藤他の自動車メーカーがやらないコミュニケーションを、レクサスはやっていくらしいですね。しかも、超一等地で。インテリアを担当したのは片山正通さんでしょ。片山節炸裂ですよね(笑)。つくり込み感が半端じゃない。地下1階から地上2階まで、何処を見ても、密度が濃い。クリエイティブには密度が重要ですよね。

谷川密度がある程度のラインを超えないと、結局、意味が無かったりもする。

伊藤グラフィックも映像も、なにか感覚的な密度感がないと成立しない。さっぱり、あっさりしたものでも密度のコントロールが必要じゃないですか。そのさじ加減は結構、クリエイティブの領域で仕事をやっていく人たちにとってはキモ。そのセンスを持ってるか否かが重要なポイントですよね。

谷川僕は独立して自分の会社、JTQを立ち上げて12年が経ちますが、グルヴィは何年ですか。

伊藤1993年に京都で立ち上げて、東京に移動してきたのが97年。そこがスタートだとすれば、会社設立17年になりますね。

谷川97年にオギャーって生まれた赤ん坊が、もう高校生ですよ。その間、グルヴィらしいクリエイティブをずっと続けているのが凄いと思う。クリエイティブの方法論は時代と共にどんどん変わっているのに。この前、ロンドンのクリエイティブチームとグラフィックデザインについて話していたとき、字組みはタイポグラファーに頼んだらって言われた。タイポグラファーという職業は初めて聞いたけど、デザイナーは書体と全体の構成の雰囲気をタイポグラファー伝えるだけで、実際の字組みは彼らにやってもらう。分業しちゃうんだね。日本のグラフィックデザイナーの中には「タイポグラフィーこそ俺の仕事だ!」という人も多いけど。

伊藤ヨーロッパはタイプセッターという職業が重要視されていて、本にクレジットされていたりもします。

谷川海外では文字ってもの凄く大切だからね。文字・書体によって目的や役割がはっきりしている。日本人はかっこいい書体だから、とりあえず使おう、ということもけっこうある。社内文章に勘亭流(歌舞伎の外題や看板などに用いる文字)を使ってしまうようなノリ。それゃ、駄目でしょ。

伊藤デザインにまったく関心のない人たちが無責任に書体を使うと、言葉本来の力がストレートに伝わる場合もたまにあって、それはそれで面白いんですけどね。

谷川言葉の力は確かにありますよね。海外でトラブルに巻き込まれて切羽詰まったとき、慣れない英語よりも母国語で言った方が伝わりやすいことがあるでしょ。笑い話のネタにされそうだけど、意外に本当なんじゃないかなぁ。怒ってるときとか焦ってるときは、慣れない言葉使うより、自分の言葉で喋った方が伝わる気がする。

伊藤必死さ、が伝わるんですね。

谷川グローバル社会で空間作りの仕事をしていると、必ず問題になるのがサイン計画。ひとつの場所を示すのに「六カ国語並べてみるか」と真面目に言う人がいるんです。だから、コミュニケーションをどこまで非言語化、記号化できるか、ということに最近凄く興味がある。

伊藤言葉に頼らず、雰囲気の作り方次第で伝えられることもありますよね。サインの意味は理解できなくても、なんとなくここは出口だろ、トイレだろ、と導くことはできる。上手い人はそうした演出が巧みですね。

谷川建物や場所によって、そういう機能の作り方って違いますよね。空港は世界中何処でも、降りて来たところにトイレがある。みんなやっぱり駆け込むんだなぁ(笑)。

エンターテイメントの主役は、食?

谷川この間、食関係の友人から、オーガニックフードの波がサンフランシスコから、ロサンゼルスに広がってきているという話を聞きました。

伊藤今は、エンターテイメントの関心が食の方に向いているし、多くの才能が集まっている気がする。

谷川世界一といわれているデンマークのレストラン『NOMA』(*1)が期間限定(2月14日で終了)でマンダリン オリエンタル 東京にオープンするじゃないですか。期間中の総席数約2,000席に、応募が60,000を超えたとNEWSで言っていました。当選確率3%のレストラン。しかも海外からの応募が半数を超えるとか。食べるために海越えする旅。食、来てますよね。

伊藤エンターテインメントといえば、昔は『ぴあ』などの情報誌でいろいろ調べていたけど、一番最初のコーナーは映画でしたよね。ということはエンターテインメントの中で映画が一番メジャーだったはずなんです。その後に音楽とか美術・演劇とかの順列があったけど、いつの頃からかそうしたジャンルのようなものが全部崩れたような気がします。エンターテイメントの領域がぐちゃぐちゃになっていって、結果的に情報誌も機能しなくなってしまった。

谷川一昔前までエンターテインメントで括られていたジャンルで、いま何を一番楽しみにしているかと言えば、やっぱり食べることだと思う。そういう意味では飲食住かもしれないですね。

伊藤ビブグルマンにラーメン屋さん、たくさん選ばれていますよね。日本のラーメンなんて、ちょっとした文化といえるかもしれません。作り手の意識が高い。「一風堂」に20億円規模の融資をするファンドも出てきたし、従来のファーストフードも苦戦しますよね。

谷川以前、『シェパニーズ』のシェフたちと食のイベントを開催したけど、彼らが日本で一番たくさん食べて帰ったのがラーメンだった。なかにはハマってしまって、オークランドでラーメン屋を大ヒットさせている人もいる。そのラーメン屋さんはコース仕立てで、締めでラーメン食べさせて客単価5,000円を超えるとか。1日200人は来店するから……すごいよね(笑)。

アート化していく領域を増やそう。

谷川僕はいま、フランス料理の世界大会「ボキューズ・ドール」(*2)に参加する日本代表チームのアーティスティックディレクターを務めていて、プレゼンテーションするための器とかを作っているんです。日本代表のシェフ、高山英紀さんから頼まれて引き受けたけど、いざ始めたらこれが大変。日本の匠総動員、職人技の結集!みたいなことになってしまった。求めるレベルが高いから、一人でも一つの工房だけでもできないんですよ。パーツごとに燕三条や高岡、京都、岐阜、静岡などの職人さんに頼んでいる。技はあるけど機械が無いという場合もあって、機械のある工房に貸してもらったりもしているんです。 「正月返上じゃん」って言いながら、職人さんたちが必死に作業してくれています。日の丸背負っているから、みんなテンション高い。でも、まだまだ日本では大会の知名度も高くないので、スポンサー集めなんかはなかなか難しい。 いっぽう、北欧などの強豪国は支援体制も整っていて潤沢な資金も確保されている。だって優勝すれば、世界一のレストランがひとつ出来るわけですよ。最高のPRです。食べる旅って今の時代、十分な観光資源でしょ。「世界一のフレンチシェフが我が国にはいます!」。さらには、有名シェフに憧れて、修業したいという若者もどんどんやってくる。インバウンド産業の視点で見ても食はキラーコンテンツなんですよ。

伊藤世界一、食べてみたいですよね。結構知りあいなどが金沢などにわざわざ鮨食べに行ったりするじゃないですか。美術館目的という名目はあるにせよ、むしろ一番の楽しみは食なんじゃないかな。それにしても、谷川さんがもっている、日本の職人さんのネットワークって、凄いですよね。

谷川職人さんは、職人さんを知っているし、良い職人さんほど良い職人さんとジャンルを超えて繋がっている。皆、ライバルですけど、仲間でもある。だから「あの職人がそれやるなら、俺がこれをやるよ」という感じで、どんどん繋がっていく。そこで出来てくるネットワークは、もの凄い財産じゃないですか。職人さんの世界は「工業」ではなくてほんとに「工芸」。だからこそ、嗜好品領域の工芸品がもっと海外に出て行くためには、組み合わせて一緒にやるのがいいと僕は思っている。高度な技をハイブリッドさせることで、今までにない新しい表現になるし、それを洗練されたデザインで表現できれば、海外の目の肥えた人たちにも十分受け入れられるハズ。

伊藤大量生産されたものと、ひとつひとつ職人魂のこもった商品が同じ土俵で競い合うのは不条理だし、もったいないよね。

谷川これからは、もっとアート化していく領域が増えてもいいと思う。例えば、僕らが写メする写真と、アートとして1枚100万円単位で取引される写真も、どちらもデジタルのデータというレイヤーまで落とせば等価だと思う。でも、友達とコミュニケーションするためにマーキングするような写真と、永久に家宝として大切にしたいようなアートフォトに物質的な差はないけど、価値が全く違う。そういう領域が、他の産業、ジャンルにももっと出てくると思う。そうなればキュレーションが重要になってくる。誰がこれを選んだのか、これを良いと言ったのは誰なのか、が重要になってくる。「これ、伊藤さんがいいって言ったから~」みたいな流れってあるじゃないですか。

伊藤変なもの買えないですよね。変なものを増やすくらいなら、持たない、というか、必要ないものはキッチリ要らないと表現することこそが大切だと思う。

リアルな人の交流こそ、クリエイションの源。

谷川グルーヴィジョンズは、東京で立ち上げから17年ですが、最初の頃と今と仕事の内容とかメディア環境とか、どんな風に変わってきました?

伊藤僕ら、デジタル化が早かったんです。最初から社内eメールだし。僕らはあまり変わってないかもですね。

谷川僕の会社は、社内のミーティングスペースがみんなの席の真ん中にある。だから、そこで打ち合わせしていると、みんな聞こえるんです。少ない人数でやっているから、「自分は関わっていない案件だけど、アイツは今これで苦しんでいるんだ」と、なんとなく会社の状況を理解できている。社内ミーティングはみんなに聞こえるようにやるのがいいですよ。

伊藤一番合理的ですね。ウチはね、全然ミーティングしないんですよ。

谷川ウチは割とミーティングが多い会社ですよ。ミーティング、というより、顔を合わせて話をする、ということをよくします。

伊藤谷川さんの会社は、空間プロデュースの会社で、ライブを演出するのが仕事だから、ライブ感がある仕事の進め方が合っているのかもですね。

谷川ボキューズ・ドールのときも、試作品の写真を多くの人が見ながら、それこそ直接関係ない人も参加して、みんなでワイワイ意見出しながら進めていった。
以前聞いた話ですが、ロンドンオリンピックの聖火リレーは、“全英国民が自宅から1時間の距離で聖火を見ることができる”をコンセプトにコース設定したんですって。だから意外に裏道を走ったりもしたそうです。でも、そうすることによって、国民みんなが聖火を見に行こうというモチベーションが生まれる。さらに各地域で聖火を迎えるためのイベントを企画した。地域の特徴をアピールするためのプログラムを、住民たちが話し合う訳ですね。それで何が起こったかって言うと、「こんなことをやりたい!」「だったら、この人に相談すればいい!」「それはまた別の人と話そう!」といった具合に住民同士のコミュニティーが繋がって、拡がっていった。結果的に地域のコミュニティーが再結束されて、それが成果としては一番大きかった。地域住民同士の繋がりは、オリンピックが終わった後も生かされているようです。人がリアルに行き交うことで、決してその時だけじゃない関係が生まれるんです。

伊藤その話を聞いて、谷川さんの仕事のキモがちょっと分かったように思います。

谷川超アナログな世界ですよ。「誰かいませんかねー?」と電話したら「それなら、ちょっと行ってみます!」みたいな世界です。

谷川6月ぐらいにグルーヴィジョンズの展覧会の空間構成をやらせていただきますね。具体的な話はこれからだけど、伊藤さんが見せたいものって、皆が見たいものだから、そこをどう攻めるか、僕もキュレーションするのが楽しみなんですよね。

伊藤作品集やもう一冊の書籍、オリジナルアプリのリリースなど、全部集中させちゃったので、大変なんだけどとても楽しみです。

ノーマ
コペンハーゲンにあるデンマーク・キュジーヌのレストラン。 他に例を見ない独創的で革新的なアプローチがレストラン業界にセンセーションを巻き起こし、イギリスの権威あるレストラン誌が選ぶ「世界のベストレストラン50」で4度、世界一に選ばれている。2015年1月9日~2月14日まで期間限定で、マンダリンオリエンタル東京に出店したが、もちろん、受付開始直後に満席となった。

ボキューズ・ドール
1987年、ポール・ボキューズによって設立された、国対抗のフランス料理コンクール。2年ごとにリヨンで開催され、毎回与えられるテーマ食材(肉・魚)を5時間半で調理し、味・盛付け、国の独自性などで採点される。今回は、『メゾン・ド・ジル芦屋』の料理長、高山英紀シェフが日本代表として参戦。参加24カ国中、5位入賞、魚部門の特別賞を受賞した。

INTERSECT BY LEXUS – TOKYO INTERSECT BY LEXUS – TOKYO

撮影協力 INTERSECT BY LEXUS – TOKYO
東京・青山にあるINTERSECT BY LEXUS - TOKYOは、「都市とつながり、人と人、人とクルマが交わる」をテーマとし、デザインやアート、ファッション、カルチャーなどを通じて、 LEXUSが考えるライフスタイルを様々な形で体験できるスペースです。

〒107-0062東京都港区南青山4-21-26
1F CAFE & GARAGE 9:00-23:00 2F LOUNGE & SHOP 11:00-23:00 / (不定休)
TEL: 03-6447-1540 EMAIL: info-intersect@lexus-int.com
http://www.lexus-int.com/jp/intersect/tokyo

BISTRO
INTERSECT BY LEXUS – TOKYO

フードディレクターに田島大地氏を迎え、“TOKYOのリアルな食”を、スタイリッシュかつカジュアルに発信するビストロ。都会での生活を楽しむ人がふと通いたくなるような、上質なフードを提供していく。

http://www.lexus-int.com/jp/intersect/tokyo/bistro/

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